試合レポート

法政大高vs成城学園

2021.07.16

法政大高の「サブマリン」有間が好投で勝利呼び込む

 [stadium]市営立川球場[/stadium]の第2試合、マウンドで躍動したのは法政大高の最速110キロ前後のアンダースローだった。

 法政大高の先発・有間 空は3回まで成城学園打線をそれぞれ3人で抑える順調な立ち上がりでチームにリズムを作る。すると打線は3回に二塁打で出塁した1番・朝倉 海吏を三塁において、3番・出田 航大の内野ゴロの間に1点を先制する。

 反撃に転じたい成城学園は5回、5番・山田 琳太郎のこの試合チーム初ヒットとなる二塁打からチャンスを作る。しかし後続にタイムリーが生まれず、逆に勢いづいた法政大高はその裏に4番・本宮 拓朗、5番・清水 時央などのタイムリーで4点を追加した。

 5回を終わって5対0と法政大高が主導権を握ると、6回にはダメ押しとなる2点が法政大高に入り、7対0と試合が決まった。最後は2番手・篠 えい太成城学園に1点も与えることなく法政大高がコールド勝ちを収めた。

 法政大高の勝利に貢献した先発・有間は、中学2年生で、現在の投球フォームに行き着いたという。元はオーバースローだったが、同じオーバースローで同級生に良いピッチャーが多くいたそうだ。そこで自分が存在感を示すために、最初は遊びでやっていたアンダースローを本格的に取り組むようにしたという。

 フォームの変更にそれほど苦労はなかったというが、気を付けているポイントは2つある。開きを抑えるために顔を残してホームを見ること。もう1つが、腕を前へ振ることの2つだ。


 成城学園戦でも、2つのポイントを意識して腕を振った。現在は良くても最速110キロと高校野球界で見れば、決して速いとはいえない。ただ時折混ぜる変化球、特に低めに決まるスライダーが効果的で、成城学園打線からアウトの山を築いた。有間の投球について、「緩いボールを待つことが出来ず、前に突っ込んでしまいしました」と成城学園花川 航琉主将は、打席から見た有間のボールの印象を語った。

 佐相監督は「強い気持ちは持っていますし、中学から始めたんですから成長は凄いと思います。次も登板があれば期待したいと思います」と胸の内を明かした。

 そんな佐相監督率いる法政大高で気になったのは走塁だ。相手の隙を狙う、果敢に次の塁を狙う姿が試合で何度も見られた。また先制点の場面は、エンドランで1点を掴むなど、足を使って泥臭く点数を重ねた。

 「チャンスで1本出すのは難しいので、こうしたこともしっかりやっています」と取り組みの背景を佐相監督は説明する。しかし、こうした姿勢は一朝一夕で身に付くものではない。練習を重ねるなかで覚えていくものだ。限られた練習時間のなかで習慣化させるのは困難だ。

 ただ選手たちの地頭の良さを活かして、「理解力が優れているので、言葉にして伝えてあげれば分かってもらえました」と佐相監督は、会話を通じて習得するのに必要な練習時間を埋めることを試みた。その成果が成城学園戦で発揮されたといって良いだろう。

 次戦の強敵・創価の前でも力を発揮できるか楽しみだ。

(取材=田中 裕毅

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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