試合レポート

飛龍vs静岡

2018.07.22

飛龍が中盤に逆転して優勝候補筆頭の静岡を粉砕

 

 3年前の第97回静岡大会の決勝カードの再現だ。ちなみにその年は5対1で静岡が勝って24回目の甲子園出場を決めている。そして、今大会も静岡は優勝候補の筆頭とされており、大会そのものも静岡を中心として展開されていくだろうというのが大方の見方である。

 

 その静岡に挑む形となった飛龍。昨秋の大会で判定を巡る抗議があって以降、監督交代などスタッフの動きもあって、チームとしても何となく安定しない状態が続いていようだ。そんな中でも、ここまで勝ち上がっているが、この大会は若い小林能知監督代行が務めている。

 

 先制したのは飛龍で初回に四球の走者を3番五十嵐の二塁打で帰す。しかし、静岡は2回に投手草薙自らの二塁打ですぐに同点とする。そして3回も四球の走者を置いて4番成瀬が左越二塁打で帰してリードを奪う。さらに4回には1番木下、2番黒岩の連続三塁打などで3点。リードを広げていき、展開としてはコールドゲームもあり得るぞという雰囲気にもなってきていた。

 

 静岡ベンチは5回の攻撃で代打を送った関係で6回から2番手佐野がマウンドに立った。左頃が、その代わり端に五十嵐が自身2本目の二塁打を中越に放つと、4番深谷の右前打で生還。さらに三浦ジェスヨロボ、山口と連打が続き無死満塁。7番齋藤和希、8番角田が相次いで犠飛を放って2点差まで追い上げた。点差もあったということで、飛龍としては打っていくしかない場面だったのだが、そこで各自が一つひとつの仕事をこなしていった。こうしてコツコツと1点ずつ返していったことが、その後の逆転の引き金となっていった。

 

 さらには、飛龍のマウンドは5回二死満塁の場面からリリーフした背番号4の岡田周人が小気味のいい投球でこらえていた。6回、7回を3人ずつで抑えていった飛龍は、いつの間にか試合の流れを自分たちの方へ呼び込んでいた。

 

 7回に静岡のエースナンバーをつけた3人目鈴木翔也を攻めて1点差とした飛龍が8回、ついに試合をひっくり返す。

 

 この回一死から飛龍は8番角田が左越二塁打すると、9番に入っていた岡田が左前打で続きファンブルする間に二塁走者は生還して同点。さらに松永の安打と四球で満塁とすると、二死となってから4番深谷が左前へはじき返して2者が帰ってこれが逆転タイムリー打となった。

 

 静岡としては、投手交代や5点リードしてからの追加点の奪い方など、反省点もあるであろう。また、この大会でも絶対的本命としてゆるぎないと言われていただけに、先を見据えた戦いもあったとは思う。それに、連日のこの暑さである。極力投手の負担を少なくしていきたいというのは、指揮官としても当然考えることであろう。

 

 それに、前半の試合の流れを見ていたら、やはり飛龍のこの逆転劇をイメージすることの方が難しいというのも正直なところであろう。しかし、何が起こるのかわからないのも高校野球だ。そんなことを再認識させられた試合でもあった。

 

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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