浦添商vs知念
浦添商が9回土壇場で同点弾!そして11回サヨナラ勝ち
昨年秋の県大会では7-0で知念が勝利(試合レポート)。年があけた春季大会では浦添商が4-1でリベンジに成功。そしてこの最後の夏。それぞれ勝ち上がってきた両雄が三たび合間見えることとなった。意地とプライドのぶつかり合い。そして諦めない姿勢。改めて、両軍ナインに心から拍手を送りたい素晴らしいゲームだった。
試合は初回からカウンターパンチの応酬。知念が宮城光和のヒットを足掛かりに、無死二・三塁とプレッシャーを掛ける。守る浦添商も二死までこぎつけた。しかし5番与那城がライト前へ運び二者を迎え入れ2点を奪取。だが浦添商も二死二塁として、4番福原望夢が高々とすくい上げ、レフトスタンドへ放り込む2ランホームラン。すかさず同点とした。
2回、知念は下位から二死二塁とチャンスを作ると、宮城光和のセンター前タイムリーで突き放す。しかし浦添商も4回、ヒットとエラーの間に宮城遼が積極的な走塁で二塁を陥れる。一死三塁として5番美差凪がスクイズを成功させ再び追い付いた。だが知念は5回、四球とヒットで一・二塁とし打席には山城響。頼れる主砲が放った打球は右中間を深々と破る2点タイムリー三塁打。5-3と知念2点リードのまま前半を終えた。
その流れを変えたのが野原紅弥だ。この夏こそ背番号18だが、元エースナンバーの底力は誰もが認めるところ。3番手として頭から登板した6回に二者連続安打を浴びた野原紅弥だったが、三振、中飛、二ゴロで切り抜けると7〜9回の3イニングは被安打1本のみ。8回には圧巻の三者連続(前イニングからだと四者連続)三振を奪い、味方を鼓舞し続けた。しかし、その野原紅弥のピッチングに刺激を受けたか。知念、大城拓巳は5〜8回をノーヒットとその上を行く快投。4奪三振、3内野ゴロ(1遊直)。外野に飛んだのは僅か2本。そこにいた多くが「2点」の差は余りにも大きいと感じたかも知れない。だが、秋や春とは違う“夏”特有の見えない何かが明暗を分ける。
9回裏、先頭打者の儀保俊幸が内野安打で出塁する。続く金城丈豊が打席に入るが何かおかしい。ユニフォームの両肩が真っ赤に染まっている。鼻血だった。気丈にもバットを振り続ける金城丈豊。その5球目だった。快音を残し打球はレフトへ。ベンチ、スタンド、全ての期待を乗せた同点2ランホームラン!大城拓巳にとっては、悔やんでも悔やみきれない1球だった。
そして11回裏、一死から四球と盗塁でチャンスを掴んだ浦添商。足が攣り、一旦ベンチへ下がった大城拓巳。次打者を気力で打ち取るがここが限界だった。ワイルドピッチで三進を許すと、最後は福原望夢にサヨナラタイムリーを浴び、好右腕が最後の夏を終えた。ガッツポーズをベンチに見せながら、歓喜の表情で勝利へと駆け抜けた福原望夢。最後の対決がエースと4番というのも、秋、春、夏と3大会連続で対戦した両雄だからこその場面だったのかも知れない。
(文=當山 雅通)
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