国士舘vs実践学園
新オーダー的中の国士舘、秋に続き実践学園を5回コールドで破る
深澤 史遠(国士舘)
こういうのをデジャヴュ(既視感)というのだろうか。4回戦を戦う国士舘と実践学園は、昨年の秋季都大会の2回戦でも対戦。この時は14対0の5回コールドで国士舘が大勝している。しかし、今回実践学園は、2回戦で東海大高輪台に好投手、宮路悠良を打ち崩して勢いに乗っている。秋の敗戦があるだけに、実践学園の沢里優監督は「リベンジのつもりで臨みました」と語る。
国士舘の永田昌弘監督も、「向こうは気持ちを込めてくる」と警戒を怠らない。しかも大会に入って打線の調子が上がらないため、「ショートとレフトを入れ替えました」と永田監督が言うように、1番に遊撃手の片岡将也、6番に左翼手の田中勇祐を入れたが、この新オーダーが的中する。
国士舘の先発は秋と同じ身長186センチと長身のエース・深澤史遠。実践学園は、秋は3番手で登板した、こちらも身長190センチの長身の背番号1の市川憧瑠が先発した。
国士舘打線は1回裏から爆発する。二死二塁から、4番・山本恵太の中前安打で1点先制すると、5番・金澤諒平、この試合抜擢された6番・田中の連続二塁打で2点を追加した。
2回裏も3連続四球で満塁として、4番・山本の右前安打で1点を追加すると、実践学園は市川に代えて、尾林幸汰をマウンドに送る。
国士舘打線は尾林から3回裏に、7番・嶋崎優介、8番・上原隼の連続二塁打に、この試合抜擢した1番・片岡の左前安打で2点を奪う。
4回裏も嶋崎の三塁打などで2点を入れ、5回裏には、深澤の二塁打、片岡のバント安打、眞崎の二塁打で2点を入れて10対0。5回コールドが成立した。
国士舘は、秋は4強の立役者になった水野谷孝一郎に当たりが出なかったが、他は全員安打。この試合抜擢した片岡は2安打、田中は3打数3安打と活躍した。チーム全体では、三塁打1本に二塁打6本と、積極的に次の塁を狙う走塁が光った。
投げては深澤が被安打2の無失点に抑え、実践学園打線をほぼ完璧に封じた。国士舘の永田監督も「今日はボールが走っていた」と言う。東海大高輪台の宮路を打ち崩した実践学園であるが「宮路投手より、今日のピッチャーの方が速かった印象はあります」と沢里監督は言う。
秋の借りを返すつもりで臨んだ試合であったが、「手も足も出ませんでした」と沢崎監督がいう結果になった。それでも4回戦に進み、夏の大会のシード校になったことは、大きな成果であった。最後は悔しい敗戦となったが、「基本を見つめ直して頑張りたいです」と沢崎監督が言うように、いい発奮材料にしてほしい。
一方、勝った国士舘は、誰がスター選手というわけではないが、選手個々のレベルが高く、リードをしていても攻撃の手を緩めず隙が無い。それでも永田監督は、「このチームの課題は変化球打ち。次の試合は胸を借りて頑張りたいと」と語る。次の相手は関東一。実力を測るには、またとない相手だ。
(取材・写真=大島裕史)