日大三vs修徳
日大三、4本塁打16安打!16得点で修徳を一蹴
金成 麗生(日大三)
関東一も帝京も、勝てば夏のシード校になる3回戦の戦いでは苦戦を強いられている。しかし初戦(2回戦)で都立葛飾野を14対1の6回コールドで破った日大三は、3回戦も古豪・修徳を全く問題にせず、16対2の5回コールドで破り、4回戦(ベスト16)進出を決めた。
修徳は背番号18ながらエース格の右腕・岩崎 智希が先発したが、1回表、二死二塁から金成 麗生に右前安打を打たれ、1点を失う。金成はツーボールからの3球目を叩いており、この積極性は、金成が乗っていることのバロメーターでもある。
日大三の先発は背番号10の岡部 仁。修徳は1回表、1番・八ツ代 喜大が右中間を破る二塁打で出塁し、2番・平田 龍が送り、一死三塁としたが、後続を断たれる。
「1回に1点でも取っておけば、違ったかもしれません。それでも、あそこでギアを変えられる投手はすごいです」と、修徳の阿保 暢彦監督は語る。
2回裏も修徳は、遊失と6番・宮本 博文の中前安打で無死一、二塁としたが、続く3人はきっちり抑えられる。このあたりは、ピンチになると、より力を発揮する、岡部の真骨頂といったところか。
日大三は2回表に6番・日置 航の本塁打と、2番・長谷川 央都の左前適時打などで2点を追加する。さらに3回表、前の打席で右前適時打を打った金成が、初球と叩くと、弾丸ライナーがライトのフェンスを越える本塁打になった。金成は2試合連続の本塁打である。センバツが終わってから無駄な動作をなくすようにフォームを変え、「今までは1、2の3で打っていたものを、1、2のタイミングで打つようにしています」と金成は言う。
金成の一発は、日大三打線を目覚めさせた。日置の中前安打などによる一死二、三塁の場面で8番の津原 瑠斗がセンターオーバーの二塁打を放ちさらに2点。その後も9番・岡部の四球、1番・井上大成の左前安打で満塁のとし、修徳の2番手・鈴木 大吉は長谷川に死球で押し出し。さらに3番・櫻井周斗の二ゴロが4-6-3と渡ったが、一塁はセーフになり、併殺が成立しない間に、三塁走者の岡部だけでなく二塁走者の井上も俊足を生かして生還し、3回表だけで6点を知れた。
本塁打を放った宮本(修徳)
4回表も4安打、2四球で3点を追加。5回表にも津原、井上の本塁打などで4点を入れた。日大三の小倉監督が、「スイングだけならクリーンアップを打てる」と言う津原はこの試合、本塁打に二塁打2本、打点6の活躍。井上は2回戦でも本塁打を2本放っており、今大会2試合で早くも本塁打3本を記録している。打って走れる、能力の高い選手だ。
一方修徳は、4回裏に宮本の本塁打で1点を入れ、5回裏も4番・高山匠の左前安打などで1点を返したが、反撃もここまで。16対2で日大三が5回コールドで勝利した。
ネット裏からも、「日大三は強い」と感嘆の言葉が出てくる圧勝だった。秋季都大会の決勝戦で早稲田実に敗れて以来、「打倒早実」がチームの共通目標になっているだけに、圧勝にも緩みはない。4回戦で対戦する東海大菅生は昨夏の西東京大会の準決勝で対戦し、敗れているだけに、またも大一番になる。
一方敗れた修徳の阿保監督は、「決して弱いチームではない」と語る。実際、1年生の夏から公式戦に出ている、捕手の宮本や、外野手の4番で主将の高山らが最後の夏に向けてチームを引っ張る。またこの試合、4番手で登板した2年生の右腕、坂本大起は、2回を投げて被安打7、自責点6を記録したものの、球威があり、球筋は良かった。修徳の阿保監督も坂本について、「夏はエースにしたい」と期待する。秋までは遊撃手で、投手の経験が少ないため、日大三の強力打線を抑えることはできなかったが、阿保監督が、「野球センスの塊」という坂本の成長が注目される。
(取材=大島裕史、写真=編集部)