試合レポート

美来工科vs興南

2016.10.09

新人中央大会に続き、美来工科が創立以来初となる秋季大会制覇!

 既にツーアウトだったが、3回り目の打席となる6回にトップの古謝 僚人が四球を選んだ。「スクイズも失敗していたし、そうチャンスは来ない試合。このワンチャンスを絶対ものにしよう」。美来工科・眞玉橋監督のゲキに、美来工科ナインは驚異の集中打で応えたのだった。

序盤を制したのは興南

美来工科vs興南 | 高校野球ドットコム

美来工科・山内

 試合の序盤を優位に戦ったのは興南だった。1回、先頭の仲村 匠平が内野安打で出塁すると犠打で二塁へ。しかしここは美来工科山内 慧が踏ん張りファーストゴロとレフトフライで得点とはならなかったが、「いくぞ!」という気迫を十分感じさせるものだった。

 2回にもヒットを放った興南は4回、3番上原麗男がライト前ヒットで出塁。中山 莉貴が打席へ立ったが、ワイルドピッチが出て上原が二塁へ到達する。中山のショートゴロの間に三塁へ進んだ。福元 信馬はセカンドゴロに倒れてしまったが、続く嘉数 尊がレフト前へ運び上原が生還。「このチームは大量点はそう望めない。代わりにコツコツと自分がやるべきことをしっかりやれるチーム」と、興南我喜屋監督が称したような先制だった。

 追い掛ける美来工科は5回、先頭打者が振り逃げで出塁。興南渡辺 健貴がボールを見失う間に一気に二塁へ到達する。次打者のショートゴロの間に三塁へ達した直後だった。スクイズの姿勢に入った打者を向こうに、興南バッテリーは見事外す。三本間に挟んでアウトに仕留めた。同じバッテリーエラーが出て、無死二塁で得点した興南と逆になってしまった美来工科。5回を終了して僅か1安打の美来工科打線がこのまま黙っているとは思えなかったものの、この嫌な流れをどう変えるのかが見えない前半だった。

これが美来工科自慢の上位打線!

 6回、美来工科の攻撃は下位から始まったが既にツーアウト。巧打の古謝が打席に入るがこの日は三振とセカンドゴロで、上原に対しタイミングが合っていない。だがここで上原の課題が出てしまう。

 準決勝の知念戦の3回、一死から9番に簡単に四球を与え、5回にも二死から同じく四球で出し次打者にヒットを許した。どちらも失点に結びつかなかったものの、ベンチからすれば意味のない四球という感じに映っただろう。

 古謝はストレートの四球で一塁へ向かう。打席には主将神山 諒介。「初球エンドランのサイン。集中していけました」打球は、エンドランのお手本のように一・二塁間を抜けた。一・三塁として盛り上がる美来工科スタンド。続く山川 倫輝も四球を選び、投打でチームの大黒柱である山内へ繋げた。「準々決勝と準決勝と不調(その2試合で1安打)に見えたかも知れないが、僕らは彼を信頼している」(眞玉橋監督)。指揮官の思いと自分に繋げたナインの気持ちを背負った打球はセンター前へ。二者が還り逆転に成功。こうなると美来工科は止まらない。続く新垣 海斗と比屋根 京介にも連続タイムリーが飛び出す。二死無走者から一気に4点を奪った。

 興南も7回、8回と一死からヒットが、そして9回にも先頭打者がヒットで出塁して粘りを見せたが、今日の山内はそこからギアを上げていくように隙を見せない。最後の打者をピッチャーゴロに斬り、センター方向を向いてガッツポーズ。新人中央大会に続く秋季大会をも制し二冠を達成。前身である中部工業高校時代を含め大会初優勝を成し遂げたのだった。

(文・写真=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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