大森学園vs城北
雨中戦、岩間、半田の好リレーで大森学園勝利
肩の怪我から復帰したばかりの西野巧人(城北)
大森学園は背番号1の半田隆人、背番号7の岩間崇啓、東京城北は西野巧人と、ともに旧チームから試合経験を積んだ投手を擁するチーム同士の対戦。
[stadium]江戸川区球場[/stadium]の第3試合は、台風19号の影響で試合はできるかどうか、危ぶまれた中で始まった。雨が時おり強く降ったものの、試合は何とか9回まで行われた。
前日の天気予報の段階から午後の天気は雨。こうした試合は、選手の気持ちの持って行き方が難しい。大森学園の和泉隆監督は、「選手が(試合がないと)勝手に判断してしまいますので、絶対にやると、繰り返し言いました」と語る。
グラウンドは水がたまるほどではないものの、土は重い。こうした試合は、普段以上に先取点を挙げて自分たちのペースに乗ることが重要になってくる。
東京城北の先発はエースの西野。体は大きくないものの、丁寧な投球で打たせて取るタイプだ。しかしながら東京城北の徳永博史監督は、「(西野は)肩を痛めており、ギリギリ間に合った」と語るように、西野コンディションは良くなかった。
1回表大森学園は、1番俊足の新城憲和が左前安打で出塁すると、3番佐藤伸平の中前安打で三塁まで進んだ。佐藤は盗塁をして一死二、三塁。続く武井陸の打球は二塁手の頭を越える右前安打。大森学園が2点を先制した。
大森学園にとっては、この2点が大きかった。
大森学園は、エースの半田が2日前に先発していることもあり(試合レポート)、この日の先発は背番号7の岩間。身長185センチという体を生かした伸びのあるストレートが持ち味だ。
この日は、グラウンドの状態が良くなく、下をかなり気にしての投球であったが、球に力があり、東京城北打線は、次々とフライを打ち上げた。
1年でたくましく成長した半田隆人(大森学園)
東京城北の徳永監督にとっては、そこが反省材料であった。
「転がさなければならないのに、2巡目までは打ち上げてばかり。もっと考えて、修正する力を持たないと」と語る。
大森学園は、3回表に追加点を挙げる。この回先頭の2番竹井悠馬はセンターオーバーの二塁打。3番佐藤の内野安打で三塁に進み、6番細矢雅士の遊撃手の横をすり抜ける打球が左中間に転がり、2人が還った。
雨が降り続く中、東京城北の西野にはつらいマウンドとなったが、それでも、崩れてしまいそうで、しっかり踏ん張り、試合を壊すことはなかった。
5回が終了すると、グラウンドに土を入れ、まだ午後3時35分であったが、照明塔も点灯した。それくらい、暗く重い空模様であった。
大森学園が7回表に細矢への押し出しの四球などでさらに1点を追加したが、その裏、東京城北は反撃に出る。中前安打で出たこの回先頭の5番丸岡啓太郎を6番山崎功太郎が送り、続く代打で打席に立った村上純一の中前安打で1点を返した。さらに8番山崎聡太の左前安打と1番櫛田舜史の内野安打で満塁となり、試合の流れが城北に傾きだしたところで、大森学園は、背番号1の半田を投入した。半田は代打の佐藤浩成を三振に仕留め、ピンチを切り抜けた。
半田は昨年、夏の東東京大会でベスト8に進出した時は、ある面1年生らしい華奢な感じがしたが、この1年で腰回りががっちりして、たくましく成長していた。
「走り込んだし、食事にも気を遣い、何よりも本人の自覚が大きいです」と、大森学園の和泉監督は、半田の成長の理由を語る。
半田の投入で、東京城北に傾きかけた流れを大森学園側に呼び戻し、8回にも1点を追加して6対1で大森学園が雨の中の試合を制した。
雨でグラウンドが良くない中、両チームは健闘した。そして試合が終わってしばらくすると、試合の終わりを待っていたかのように、野球はとてもできないような大雨が降り出した。
(文=大島 裕史)