今治西vs今治北
今治西・神野靖大が果たした「エースの仕事」
110球5安打完封の今治西・神野靖大投手(2年)
「神野(靖大)は夏からずっと左ひじがよくなくて、新人戦や公式戦以外ではピッチングができていませんでした。2番手はずっと準備させていました」
試合後。今治西・大野康哉監督のエース左腕についての発言は、ある意味衝撃的なものだった。
確かに決して調子はよくなかった。浴びた5安打はいずれも回の先頭打者。与えた四死球こそ2個に留まったが、ボールはばらつき、持ち前の低めへの制球力も影を潜めていた。
それでも「4~5回から修正できた」と神野自身も認めるように、要所では最速133キロの直球とスライダー、スクリュー気味に落とすチェンジアップを下し6奪三振。
さらに内外野も今治北の打球方向を完璧に把握したポジショニングで再三安打を凡打に。これには、「バックが守ってくれて、助けられた部分が多かった」と本人も感謝しきりであった。
「状態が悪くても結果を出す」。これぞエースの仕事。随所に積極性を示し県内屈指の右サイドである今治北・原大和(2年・右投右打・177センチ68キロ)を攻略した打線と共に責任感の強さをグラウンド上で提示した今治西の大黒柱は、169センチ・60キロ以上の大きな成果を得るスタートラインをまずは飛び越えた。
(文=寺下友徳)