試合レポート

関東一vs大森学園

2013.07.23

関東一、”波状攻撃”の猛打で大森学園にコールド勝ち

 関東一がエース・中村祐太を温存して11対1でコールド勝ちした。1回は2番伊東陽平の中前打と二盗で1死二塁とし、3番井橋祐貴の中前打と大森学園中堅手のエラーで先制し、2回は8番伊藤雅人が四球のあと9番醍醐駿平が右前打、1番岸田将人の四球で満塁としたあと伊東の犠飛で2点目、3回は4番山口啓太が四球で歩いたあと5番上田浩輔の三塁打で加点するという展開。それぞれエラーか四球が絡んでいるところはソツがないが、3回まで記録した5つの残塁が今後の課題でもある。

 大量5点が入った4回もエラー2つを絡めながら、ここは“波状攻撃”という形容がぴったりの猛打ぶりで、このチームが中村祐太のワンマンチームでないことを証明している。最終イニングの5回にも3点を加えているが、これは相手投手が意気消沈したのかヒット1本と4つの四球で10点目が入り、11点目は死球で三塁走者を迎え入れるという気が抜けた幕切れとなった。

 中村に代わって先発のマウンドに上がった関東一の左腕、醍醐はカーブに見応えがあった。90キロ、100キロ、110キロという3つのスピード帯の球を状況に応じて使い分け、ここに120キロ台のシンカー、あるいはツーシームのような落ちる変化球を配して付け入るスキを見せなかった。

 ストレートは135キロ程度のボールを序盤に集中することで大森学園各打者の目に残像として植え付け、変化球をさらにキレ味鋭いように見せていた。これも立派な技である。

 この醍醐をリードした2年生捕手、池田瞳夢の強肩はひと際目を引いた。攻守交代ごとに行われる投球練習の最後に行われる捕手の二塁スローイングは、強肩度を測る格好の材料になるが、池田はここで4回続けて2秒切りを達成し、最速は1.87秒という見事な肩を見せた。これは全国的に見てもトップランクの数値である。

 さらによかったのは実戦でのスローイング。離塁の大きい一、二塁走者を刺そうとけん制を試み、一塁けん制タイムは最速で1.47秒、二塁けん制タイムは1.95秒を記録した。くどいようだが、このレベルの強肩は全国的に見ても多くない。

 打者走者の各塁到達タイムも見てみよう。全力疾走の目安は「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」である。このタイムを大森学園が2人2回クリアしたのに対して、関東一は1人もいなかった。反対に「一塁到達5秒以上」のアンチ全力疾走は1人いた。実力上位校ゆえの油断と言われても仕方ない。

 準決勝が行われるのは25日の第2試合、相手は強豪・二松学舎大付である。ここでどんな試合が行われるのか今から興味深い。

(文:小関順二)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.13

【北海道】帯広大谷、遠軽、函館大柏稜が全道大会出場へ<春季全道大会支部予選>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?