関東一vs都立墨田工
中村祐太(関東一)
悔しさを知る二枚看板 好発進!
8日から東京都ブロック予選が開幕。ブロック予選。敗者復活の猶予はなく、負ければその時点で冬に突入というとてもシビアな予選である。第24ブロックは[stadium]江戸川区球場[/stadium]がメイン。初日から関東一から登場した。
注目の関東一の先発はエース中村 祐太。そして5番。昨年から下位に座りながらも、長打力はクリーンナップ級のモノがあり、新チームでは投打の軸になっていくのは想像できた。5番ということで、投球だけではなく、勝負強い一打も求められていくのだろう。
4回戦に成立学園に敗れた関東一。中村は本調子ではなく、7回でマウンドを降りた。そして後続の投手が打たれ、サヨナラ負けで甲子園行きを逃した。成立学園戦からブロック予選までの1ヶ月半。その時よりも腰回りが太くなり、実に逞しい体型となって戻ってきた。身体を鍛えこんできたのが伺える。
彼の持ち味である手元まで失速しないストレートは健在。
エンジンが大きくなったことで、135キロ級の速球を軽々と投げられている。彼を初めて見た時は必死だったが、やはり場数を踏んできて、淡々とマイペースに放っている。本気を入れた時のストレート。140キロ前後は出ていそうで、高めのストレートは思わず手が出てしまう素晴らしいストレートだった。
この日は外角中心。細かい駆け引きはなかった。墨田工打線は明らかに中村の速球に的を絞っているように見えても、ストレート中心の配球。シングルヒットは浴びるが、ロングヒットは打たれていない。中村にとってシングルヒットは許容範囲で、外角ストレートを軸とした投球スタイルは変える必要がないということだろう。確かに負けたらこの秋は終わりだが、この時点で勝ちを求める投球は必要ないだろう。
醍醐(関東一)
6回まで5安打無得点7奪三振の快投だった。打線は小刻みに点を追加していき、6回裏まで8対0。
7回表から醍醐 駿平が登場。ややスリークォーター気味の投球フォームから130キロ中盤の癖球で勝負する醍醐だが、技ではなく、力のある投球を見せてくれた。以前よりもテークバックからトップに入り、リリースまでの回旋がスムーズになり、肘の角度をしっかりと上げたことで、腕の振りが鋭くなり、力強い速球が決まっていた。マックスとしては136キロだが、それ以上のスピードボールは投げているのではないだろうか。コンスタントに135キロ前後を投げ込む馬力は身に付けたのは間違いない。そして同じ腕の振りで、緩いカーブも効果的だった。墨田工の打者は完全にストレートのタイミングで待っているので、緩いカーブに待ちきれない。アウトはすべてストレートで三振に取る投球で、ゲームセット。7回コールド勝ちを決めた。
中村はこれがマックスではなく、都大会に向けて完成度を徐々に高めていきますと思わせる内容。高いレベルの相手となったら、変化球の割合を増やし、駆け引きを使っていくのではないだろうか。今日のようなストレートを軸とした投球はまずしないと思う。
相手は直球が良い中村 祐太とこの1年で知れ渡っているからだ。2年連続の選抜を狙う立場としては、そこを踏まえた投球が出来るか注目していきたい。
醍醐の投球はブロック予選では背番号11だが、本大会では背番号1を狙っているような投球であった。それだけ気合が感じられ、中村以上に打ち難さを感じる投手であった。彼は成立学園戦でサヨナラ打を浴びた投手。一番悔しさを味わった投手だろう。その悔しさを晴らすべく、この夏はしっかりと鍛えこんで、実力を磨いていたのが伝わってきた。
夏の悔しさを味わった2枚看板。この秋も主役として輝くか注目していきたい。
(文=河嶋宗一)