試合レポート

県立川越vs坂戸西

2012.04.16

県立川越vs坂戸西 | 高校野球ドットコム

川越・亀岡君

二転、三転した流れを坂戸西、引き寄せ切れず

 前日の雨は思っていた以上にじとじとと降り続いたのだけれども、雨があがった今朝から砂入れ作業などをして、予定通りにプレーボールとすることが出来た。

 流れそのものが、二転三転するスリリングな試合になったが、明暗を分けたのは8回の攻防だった。

 7回を終わって2―1で川越リード。しかし、内容的には、むしろ坂戸西が押しているという雰囲気でも会った。いつか、坂戸西が自分たちに流れをもたらしたら、一気にリード出来そうなそんな試合展開でもあった。

 そんな坂戸西の8回は、先頭の2番石丸君が右前打で出ると、続く高村君も左前打して一三塁。4番湯川君は倒れたものの、秋はメンバーには入っていなかったのだが今大会では正選手をとったという5番堤君が左前へ2点タイムリーを放って逆転。

 なおも、1死一塁でたたみかけたいところでもあった。ところが、ここで県立川越の亀岡君は冷静に牽制で一塁走者の堤君を刺す。結果的に、これで坂戸西に傾いた流れは、もう一度川越に戻されることになった。改めて、タッチプレーが大きく流れを変える要素の一つになっているということを実感させられたシーンでもあった。

 県立川越は逆転されてもベンチでは岡田実監督も、「このまま終わることはないはずだから、諦めるな」ということを選手たちに話したという。そして、選手もそれに応えた。

 1死後、3番後藤君が右翼へ同点ソロを放つ。この場で本塁打が出る集中力は見事といっていいだろう。

 坂戸西は、これで先発長谷川君を諦めて二番手として同じ左腕宇津木君を送り込む。しかし、勢いづいた川越打線は、宇津木君を攻めて、なおも1死一二塁として、ここまで3安打している大谷木君が、一二塁間を破って二塁走者を迎え入れ再逆転。なおも四球で、投手は宇津木君から伊藤凌君に交替したが押し出しで、県立川越は2点リードとなった。


県立川越vs坂戸西 | 高校野球ドットコム 

坂戸西・宇津木君

 坂戸西の野中祐之監督は、「あの回、最初から投手交代しようかなとも思っていたのですが、やっぱりエースだし完投させたいとも思いましたから、そのまま長谷川で行ったんですけれど、簡単に先頭打者をとったので、安心したんですけれどね…」と、後手に回った投手交代を悔いた。

 結果的には、坂戸西は、やっと引き寄せた自分たちへの流れを掴み切れなかったということになってしまった。展開的には、初回も2死から3四球で満塁、2回も相手の二つの失策で三塁まで進めるなど、自分たちに有利な展開に持っていかれるチャンスを貰っていただけに、あと一つ流れを引き寄せられなかったことが、余計に悔やまれる。4回、2死一塁から長谷川君の中越二塁打で同点としたが、完全の自分たちのペースとするには至らなかった。

 逆に県立川越は、初回は2死後四球とボークで二塁へ進めた後、4番松崎君の左前打で先制。同点とされた直後の4回も2死からの3連打で突き放している。

 県立川越の岡田監督は、「亀岡の投球もそうですけれど、このチームの持ち味は粘りです。もっと機動力を使ったりという攻めも考えていたのですが、一発で追いついたりと、形は違ったのですけれども、自分たちの粘りの野球は出来たと思います」と、戦い方は評価していた。

 一方、破れた坂戸西の野中監督は、「今までにないくらい、いいムードで大会に入ることが出来たので、余計にガックリですね。相手どうのこうのというよりも、自分たちが空回りしてしまいました。このチーム、選手個々の素材はいいと思っているのですけれども、公式戦を勝っていないんです。とにかく、夏までには、何とかしてあげたいです」と、肩を落とした。2年前のチームは秋も春もベスト4に進出して、関東大会に手が届きかかっていたが、いずれも浦和学院の壁に泣かされた。そのチームに負けないくらいに、選手個々の素材はいいと感じているだけに、指揮官は夏へ向けてもう一度作り直したいと、気持ちを整理していた。

(文=手束仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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