専大北上vs福岡工
優勝旗返還
本氣
岩手大会の開幕戦は、沿岸の久慈東と内陸の金ケ崎の対戦となった。
1回表、久慈東は1番の堀米潤平主将(3年)がレフトへの安打で出塁すると、2番・田中慎太郎(3年)は四球を選んだ。
石橋智監督の息子である3番・石橋勇人(3年)が犠打を決め、1死2、3塁から4番・藤島拓麻(3年)のライトオーバーの2点タイムリー三塁打で先制した。3回と8回にも1点ずつを追加した。
先制パンチをくらった金ケ崎は、久慈東のエース・久慈慎也(3年)の前に4回まで無安打に抑えられた。5回に5番・鶴田希一(2年)がチーム初となるライト前への安打で出塁。6番・菊地遼(3年)の犠打で2塁に進み、7番・及川裕樹(3年)の投ゴロで2死3塁。
ここから、8番・熊谷朋也(2年)、9番・井面巧太郎(2年)が連続四球で2死満塁とチャンスを作った。
しかし、1番の石川奈希(2年)は外角直球に手が出ず、見逃し三振に倒れた。6、7回も三者凡退に抑え込まれた金ケ崎だったが、8回、反撃を起こした。
この回の先頭、代打・小野直哉(2年)が四球で出塁。2死2塁から2番・千葉諒の左翼線二塁打がタイムリーになった。
さらに、3番・七ツ役琢磨(3年)も同じく左翼線にタイムリー二塁打。ここで、久慈東のエース・久慈慎をマウンドから降ろした。
その後、得点できず、金ケ崎は2-4で敗れた。岩手で一番早くに涙をのんだ。
金ケ崎は「本氣」をテーマに活動してきたチームだ。七ツ役主将は「4月から新しい先生が来て、チームが変わった」と話す。新しい先生、とは部長の工藤孝之先生のことだ。物をそろえる、靴をそろえる、部室をきれいに使う―。そうした取り組みから、負けてもヘラヘラしていたというチームが、練習試合で敗れて涙するチームへ変貌した。
大会パンフレットの金ケ崎のページには、以下のような七ツ役主将のチーム紹介がある。
「テーマは「本氣」。一塁まで全力で走る、しっかりとした捕球、丁寧な送球、そして日本一のあいさつ、学校生活を心がけている。小さな日本一の積み重ねを常に意識して取り組むことが日本一の野球につながると信じて日々の練習、試合に臨んでいる。目指すは甲子園。積み重ねてきた『本氣』を存分に披露したい」
今大会、勝利はつかめなかった。「道具をそろえるとか、アップのムードとか、日本一にこだわって、やってほしい。勝ち負け関係なく、そういうことをやることによって悔いは残らないと思う」と七ツ役主将は後輩たちにメッセージを送った。
(文=高橋昌江)