News

西三河の新鋭・岡崎学園は守り勝つ野球で昨秋8強以上の成果を残す

2020.06.13

西三河の新鋭・岡崎学園は守り勝つ野球で昨秋8強以上の成果を残す | 高校野球ドットコム
左から山田優都、近藤翔亜

 昨秋の日本一・中京大中京をはじめ、実力校がしのぎを削る「球国愛知」こと愛知県は7月4日から「夏季愛知県高等学校野球大会」が開幕する。

 その大会に向けて調整を続けている昨秋ベスト8の岡崎学園は春以降にさらなる躍進を目指し、冬場の練習を過ごしていた。だが、今回の一件で学校は5月7日から分散登校が始まったが、練習は5月25日までできなかった。

 チームを率いる田中信宏監督は選手たちに自粛期間の過ごし方を任せていた。これまで岡崎学園は全体練習に加えて、選手自身に考えて練習に取り組ませる時間をとっている。自粛期間になってもそのスタイルを継続してきた。

 投げては140キロ近く、そして長打力もチームトップの二刀流・山田優都は、「日中にはキャッチボールを友人として、夜は走り込みをしました」と語れば、主将の近藤翔亜は、「ランニングや近くのグラウンドでキャッチボールやバッティング。家の方では筋トレや素振りなどを欠かさずやりました」と、限られたスペース、時間の中で日々身体を動かしてきた。

 週に何度かに分けて田中監督は電話で選手たちとコミュニケーションをとるなど、事態の収束を待ったが、20日に甲子園の中止が決まった。「2年半目指してきたものがなくなり、ショックといいますか、言葉が出ませんでした」と近藤主将が語れば、「何も言葉にできないと言いますか、やる気が出ない感じでした」と山田も振り返る。

 そんな中、22日に3年生が登校日だったことを利用して、田中監督はミーティングの時間を作った。
 「切り替えることができない選手が多かったです。ですので、『自分が現役の時にこの状況になっていたらやる気が起きていないかもしれない。それくらい苦しい』と話はしました。
 ただ、選手にしかわからないこともあると思うので、『時間をかけても良いから、今後どうするのか。話し合って考えよう』という話もしました」

 後から聞くと、一部の選手からは「後輩たちに譲った方がいいのではないか」という声もあったそうだが、25日の時点で独自の大会が開催する方向で進むことが決まった。選手たちの中では、大会の開催は大きな意味があった。

「気持ちの切り替えといいますか、『もう一度力を入れてやっていこう』とチーム全体が一丸となって雰囲気は良くなりました」(近藤主将)
 「全員でミーティングをして『大会で優勝しよう』とまとまることができたので、今はその目標に向かって頑張って練習ができています」(山田選手)

 25日から短縮授業という形で再開したことに合わせて、部活動も1時間の時間制限を設けて再び始まった。田中監督は選手たちを見ていて、「少しずつですが、以前の状態に戻りつつあります」と調子が上向きになってきたことを語る。

 「先輩たちの代からのスタイルを継承していますが、全員が気持ちを切らすことなく練習をやり切って、大会に入りたいです」と意気込みを語る近藤主将。

 指揮官の田中監督は、「全員が楽しみです。選手それぞれに可能性を感じており、僕の方がワクワクしています」と夏が待ちきれないようだ。球国愛知の歴史に岡崎学園が名を刻めるか、注目だ。

記事=田中 裕毅

関連記事
【緊急企画】母校や応援している高校の球児たちに、あなたのエールを届けよう!
21世紀枠候補校屈指の右腕・隼瀬一樹(伊香)の進化のきっかけは練習試合観戦【前編】
21世紀枠候補に選出された伊香(滋賀) 滋賀学園に金星をあげることができた理由【前編】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.11

【2024年最新版 スーパー中学生リスト】 関東地区の強豪校注目の遊撃手、高校スカウト殺到の大型左腕、中村剛也の長男など38人をピックアップ

2024.05.11

シニア日本代表が発表!選抜大会準優勝の主力打者、ベスト4の主将、優秀選手などが選出!

2024.05.11

【阪神大学】V7の天理大の戦力紹介!投手力、打撃力、機動力充実の布陣で大学選手権へ!

2024.05.11

名門・東海大相模の進路紹介!プロ注目打者は東洋大、エースは中央大で早くもリーグ戦に出場!

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【関東】山梨学院と常総学院がそれぞれ優勝、出場校の対戦が確定<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>