星城vs三好
星城が6回、一気に打線爆発でビッグイニングを作り三好を振り切る
星城は6回からリリーフした鮫島君の登板で流れを掴んだ
<第75回愛知県高校野球選手権大会:星城8-1三好(7回コールド)>◇11日◇1回戦◇豊橋市民
前チームの1年間は昨秋と今春はベスト4、夏の愛知大会もベスト8と確実に上位進出を果たしてきた星城。この秋も名古屋地区1次予選は1位で通過して県大会出場権は得たが、2次トーナメントでは初戦で享栄に完敗。そこでの負けを修正して県大会初戦を迎えることとなった。
対する三好は刈谷で実績を作った岡田 泰次監督がこの春から就任して、この夏も4つ勝ってベスト16にまで残った。1年生も多く入部して新チームとしての期待が高いのだが、秋は1次リーグでは2位となった。そこからチームは順位決定トーナメントで勝ち上がって県大会進出を勝ち取った。1年生が多いだけに試合経験を積みながら、試合ごとの成長の期待も高いと言っていいであろう。
そんな両校の対戦は、序盤の好カードという期待も高い。
星城は中屋 仙太郎投手(2年)、三好は岡田 耀太投手(1年)と、ともに背番号1を背負う右腕投手が先発。初回は、お互いに安打は許したものの、その後は丁寧な投球で抑える。2回の三好の守りは失策と暴投などで、三塁まで進塁を許すも最後は岡田が上手に打たせた。3回も星城は2本の安打に四球で2死満塁と得点機を迎えたが、岡田が何とか踏ん張っていく。こうして、星城が押し気味ながらお互い0が三つずつ並んで迎えた4回、三好は4番榎並 大征内野手(1年)が左翼芝生スタンドへソロ本塁打を放って先制する。しかし、その裏、星城も四球の加藤 翔輝捕手(2年)をバントで進めると、9番矢崎 塁外野手(2年)が左翼線へ適時打を放ち、たちまち同点とする。その後、星城は追加点のチャンスもあったが、ここは岡田がよく堪え、三好の内野陣もよく守った。
こうして1対1の同点のまま試合は後半に突入していくが、星城・木下 秋次監督は先発の中屋を退け、6回からマウンドを鮫島 拓投手(2年)に託した。鮫島は死球こそ一つ与えたが、起用に応えてきっちりと抑えた。
そしてその裏、自身からの打席だったが左前打を放つ。矢崎のバントが野選となって一、二塁。1番金沢 恭平外野手(2年)がしっかりと送って1死二、三塁とする。ここで、星城ベンチは代打に吉川 敦(1年)を起用。それがズバリ当たって、左中間へ三塁打を放ち2人がかえって星城がリードを奪った。そして、これが引き金になったかのように、一気に星城打線に火がついた。
三好の岡田 泰次監督はここで、右翼手の水谷 優斗外野手(2年)と岡田を入れ替えた。水谷は夏の大会でもマウンド経験もある投手だ。ところが、星城打線は2死球で満塁とすると小松 伯内野手(1年)、習田 健介外野手(1年)の連打でさらに3点を追加。加藤も内野安打で出て塁を埋めると、再び鮫島の打席となったが、ここでも中前打で2者をかえして、この回で何と大量7点が入った。
接戦の試合は、いきなりコールドゲームの可能性のある展開となってしまった。
それを意識したかどうかはわからないが、鮫島は7回に連続四球を与えてしまう。それでも、その後をしっかりと抑えて、結果的には星城の7回コールドゲームとなった。
星城の木下 秋次監督は、「前のチームに比べると、スケールが小さくなったということは否定できませんね。だけど、選手たちも、そこはわかっていますから、上級生たちのひたむきな姿勢とか一つひとつ、どんなことでも真面目に取り組んでいくということは見ながら学んできていました」と言うように、チームとしては、「今の自分たちがやれることをしっかりとやって行く」という姿勢はできているという。それが表れた、6回の集中攻撃と言ってもいいであろう。
前半までの展開からすれば、思わぬ形の大敗となってしまった三好。岡田監督は、「前半の展開から見て、整備明けの6回がポイントになるかなとは思ったのですが、そこで死球を得ながら何もできなかったウチと、球威が落ちて来た岡田に攻め込んできた相手との差が出ました」と、勝負のポイントとしては6回の攻防だったと振り返った。
それでも、来春以降へ向けては、「ここで負けたことで、もう一度来春までに作り直していく時間ができたと思っています。まだまだ伸びて行かれる選手たちが多いですから」と、次へ向けて切り替えていた。
(取材=手束 仁)