試合レポート

関大一vs大商学園

2014.07.14

12得点を生んだ逆方向へのバッティング

 打席に入る前にはきっちりと両足を揃えて審判に一礼。好感の持てる姿勢をみせた関大一打線が高いバント技術を駆使して先制に成功した。

 初回、1番・山元がレフト前ヒットで出塁し、リードオフで牽制を誘うとファーストからピッチャーへの返球が逸れ、労せずして得点圏に進む。2番・竹中が三塁線ギリギリにバントを転がすと、大商学園のサード・片山が一塁へ悪送球。
ラッキーな形で先制点を奪い尚も無死二塁のチャンスに3番・奥田も再びバント。これも三塁線の際どいところへ決まり、4番・平野のタイムリーへとつながった。

 ただ単にきっちり転がすだけでなく、ピッチャーでは到底処理出来ないライン際付近へのバントを狙って立て続けに決められるだけの技術力を披露した。

 関大一は2回にもフォアボールでランナーをためると、奥田、平野の連続タイムリーで4点を追加。開始早々に6点のリードを奪った。

 先発・上山はストレート、変化球共にキレがあり、どちらでもストライクが取れる上々の立ち上がり。
テンポ良くアウトを積み重ねていたが、3回一死満塁、4回無死一、二塁のチャンスを打撃陣が平凡なフライアウトで潰すと大商学園の反撃にあう。


 大商学園は3回に1番・城市のタイムリーで1点を返すと、4回には無死1、2塁から7番・平野がレフトへスリーランホームラン。

 初回は守備の乱れから先制を許し、2回は先発・大島のコントロールの乱れから失点したが、今度は逆にエラーとフォアボール絡みでもらったチャンスで最高の結果を出し、序盤に背負った大量ビハインドをワンチャンスで捉えられる2点差にまで詰め寄った。

 流れを渡したくない関大一は打線が持ち味を発揮する。

 4回までの三振、四死球、犠打を除く打球、つまりインフィールドの打球は全部で16本あったがその内11本が逆方向へのものだった。5回に相手のエラーと上山のバントで一死三塁のチャンスを作ると、9番・木村がやはり逆方向へ。
ライト前にタイムリーを放ち流れを引き戻すと、二死二、三塁からは奥田がセンター返し。貴重な2点タイムリーで再びセーフティリードを奪った。

 6回以降も確実なバントと逆方向への打球で自分達の形を作り小刻みに加点。9回に上山の後を受けた本木がタイムリーを許したが、終始試合の主導権を握り相手に流れを渡さなかった。

 関大一は、3番・奥田が4安打1四球1犠打、4番・平野が5打数連続安打を放つなどつながりのある打線が毎回の20安打で12得点を奪った。
しかし、長打はわずかに3本だけ。逆方向への打球は総安打の半数を超える12本。決して大振りで引っ張りに走ることなく、低く強いライナー性の当たりを徹底し常に塁上を賑わせ続けた。

 先発・上山も1発を浴び5点を失いはしたが1度もリードは許さず、先行逃げ切りの形で初戦を突破。
スタンドの応援組も含めて全部員が気合の5厘刈りで大会に臨んだ関大一が2回戦へ駒を進めた。

(文=小中翔太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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