西武はドラ1「以外」の高卒先発投手は苦しい? 最後の規定到達は1994年の工藤公康
高橋光成
新型コロナウイルスの影響でプロ野球の開幕が4月24日以降となった。オープン戦や練習試合で調子を整えてきたが、いったん仕切り直しとなる。
そんな中、パ・リーグ2連覇を目指す西武は、6勝2敗1分の首位でオープン戦を終えた。
このオフシーズンに秋山翔吾(横浜創学館出身-現レッズ)が抜けたものの、山川穂高(中部商出身)や森友哉(大阪桐蔭出身)、そして外崎修汰(弘前実出身)とその他の主軸は健在。もちろん昨シーズンに比べると、得点力は落ちるだろうが、それでもリーグ屈指の破壊力ではることは疑いようの余地はない。
一方の投手陣は開幕投手に内定していたザック・ニールに高橋光成(前橋育英出身)、今井達也(作新学院出身)の甲子園優勝投手コンビ。そして松本航までは先発ローテーション入りがほぼ確定。残りの2枠を松坂大輔や榎田大樹(小林西出身)、本田圭佑(東北学院出身)らで争うことになる。
やはり将来のエース候補である高橋と今井がどれだけ結果を残すことができるかが、順位の鍵を握ることになりそうだ。ふたりとも高卒でドラフト1位指名された金の卵。ここまで足踏みした時期もあったが、なんとか先発ローテーションを任される存在にまで成長した。
さてここで西武のローテーション投手を振り返ると、かつては菊池雄星(花巻東-現マリナーズ)や涌井秀章(横浜出身-現楽天)、そして松坂大輔(横浜出身)が高卒のドラフト1位出身としてローテーションを張ってきた。しかし高卒出身という括りで見ると、西武においてドラフト1位「以外」のローテーション投手はほとんどいない。
中継ぎとしては武隈祥太(旭川工出身)や平良海馬(八重山商工出身)と結果を残している投手はいる。
しかし、先発投手では2000年以降で規定投球回到達、もしくは2桁勝利を達成した高卒でドラフト1位以外の生え抜き投手はひとりもいない。なんと直近は工藤公康(名古屋電気出身)が130.1回を投げ11勝をマークした1994年にまで遡らねばならないのである。
パ・リーグの他球団を見ると上沢直之(専大松戸出身-日本ハム)、山本由伸(都城出身-オリックス)、千賀滉大(蒲郡出身-ソフトバンク)とエース格の投手がドラフト中位・下位から誕生している。
二木康太(鹿児島情報-ロッテ)や辛島航(飯塚-楽天)はエース格ではないものの、先発ローテーションを張ってきた。
まさに西武だけがドラフト1位以外から先発ローテーションを回るような投手が誕生していないのである。もちろん、チームを編成する上で、ドラフトの順位は関係ない。1位であれ、下位指名であれ、それぞれの役割を果たせばそれでいいのは事実としてある。
しかし、ドラフト中位・下位からもローテーションを張るような投手が誕生すれば、投手陣の底上げを図ることができるのではないだろうか。
はたして今後、そういった投手は現れるだろうか。西武の先発ローテーション投手に注目だ。
(文=勝田 聡)
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