試合レポート

駒大苫小牧vs札幌第一

2020.10.06

序盤の試合運びが雌雄を決した強豪対決。駒大苫小牧がベスト8へ!

駒大苫小牧vs札幌第一 | 高校野球ドットコム
駒大苫小牧先発・石橋利久

 稚内大谷との一戦では打線が奮起し、5回コールドで勝利した札幌第一。続く2回戦では田中将大らを輩出した強豪・駒大苫小牧。道内を代表する実力校同士の一戦は最後までもつれる展開となる。

 駒大苫小牧はエース・石橋利久がマウンドに上がる。セットポジションから動き出していき、最初はゆったりと足を挙げるが、足を挙げ切るとそこから素早く体重移動をしていき、左腕を振り下ろしていく。

 テイクバックは小さく回すようにしてトップまで作るが、リリースしてから前が大きく、打者からすると急にボールが出てくるような感じがあるのではないだろうか。

 またステップの幅を狭めにすることで状態が少し高くなっているが、それでボールに角度を付けており、持ち球でもっとも効果的な縦のスライダーの曲がり幅が大きくなり、札幌第一打線はなかなか捉えることができなかった。

 一方の札幌第一もエース・帯川翔宇がマウンドに上がる。セットポジションからすっと足を真っすぐに上げてから重心を前へ運んでいき、同時に下ろしていた右腕を少しずつ上げながらトップまで持っていって、スリークォーター気味の高さから振り切る。

 伸びのあるストレート、そして外角へコントロールされたスライダーが光る帯川はコースを突く投球で駒大苫小牧打線を封じて見せる。

 ただどちらも厳しいコースを狙いすぎてなのか、なかなか試合のテンポが上がらず攻撃にもリズムが出てこない。両チームが攻めあぐねる中で迎えた3回、駒大苫小牧は9番・小田渉斗の四球と1番・津田翔太郎の二塁打でチャンスを作る。



駒大苫小牧vs札幌第一 | 高校野球ドットコム
札幌第一先発・帯川翔宇

 ここでバッテリーエラーと「いつも練習をしていることです」という三塁にランナーを置いてのエンドランを2番・本間飛翔を成功させて2点を先制。さらに4回は7番・三次陸矢、8番・北山翔の連続タイムリー。5回には再び相手バッテリーのミスで5対0と駒大苫小牧がリードを奪った。

 だが後半は札幌第一ペースに一転。6回に5番・川口友翠に二塁打からピンチを招くと、6番・疋田悠真のタイムリーと押し出しなどで3失点。さらに7回途中から2番手・林勝宏に代えるも、8回に2番・山村蓮のタイムリーで5対4と1点差まで詰め寄られる展開となった。

 勢いは札幌第一にあったが、駒大苫小牧が同点までは許さずに逃げ切る形でゲームセット。9回を何とか無失点に抑えてベスト8の切符をつかみ取る形となった。

 これで優勝まで残り3勝と迫った駒大苫小牧。端場監督は次に向けて「一戦必勝で戦いたいと思います」とコメント。またエースとして途中降板はありながらも、何とか試合を作った石橋は「ここで負ければ甲子園はないですので絶対勝つつもりで投げました」と執念で何とか抑えた。

 今年のチームは三塁ランナーを置いたところでエンドランを仕掛けたり、相手バッテリーの些細なミスを逃さずに次の塁を陥れる走力を活かした攻撃が目立った。長距離砲というようなバッターを揃えるのではなく、繋ぐ野球。先を狙う野球が今年の駒大苫小牧なのだろう。目指す舞台まで残り3勝と迫ってきたが、この勝利をきっかけに勢いで勝ち上がれるか。

 そして敗れた札幌第一の菊池監督は「序盤の失点が大きかったです。悔しいですね」とコメント。後半の猛追だけに、やはり悔やまれるのは序盤の試合運びだった。ベスト8とはならなかったが、この日も救援した堀川怜央や4番・伊藤鴻成など実力者が揃っている。この反省を生かし、春にはさらに一皮むけた姿になって北海道を勝ち上がってほしい。

(取材=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.05.23

春季関東大会でデビューしたスーパー1年生一覧!名将絶賛の専大松戸の強打者、侍ジャパンU-15代表右腕など14人がベンチ入り!

2024.05.22

【宮城】仙台育英は逆転勝ち、聖和学園が接戦を制して4強入り<春季県大会>

2024.05.22

【北信越】帝京長岡の右腕・茨木に注目!優勝候補は星稜、23日に抽選会

2024.05.22

【秋田】明桜と横手清陵がコールド勝ちで4強入り<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.04.23

床反力を理解しよう【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?