試合レポート

明桜vs弘前東

2019.06.07

明桜、強力投手陣リレーで弘前東打線を封じ込みベスト8へ!

明桜vs弘前東 | 高校野球ドットコム
風間球打(明桜)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 二季連続で東北大会出場を決めている弘前東、昨春に続き、東北大会出場の明桜弘前東は全国を意識しているということもあり、内外野がまとまっており、明桜も投手、野手たちのポテンシャルの高さを見ると、全国クラスのチームだと感じる。

 試合は拮抗とした展開となった。1回表、明桜は5番虻川 颯一郎(3年)の中前適時打で1点を先制。

 明桜のマウンドに登ったのは風間 球打(1年・182センチ80キロ)。山梨県の笛吹ボーイズ出身で、輿石監督に憧れて、明桜の門を叩いた。手足が長く、骨格が太い体型は大器と感じさせるものがある。先発理由について輿石監督は、「県大会の決勝戦でも登板させたのですが、1イニングだけでしたので、「今回は先輩たちがいるから打たれるまで全力で投げろ!と指示しました」と期待の1年生を送り出した。

 ノーワインドアップから始動し、左足をゆったりと引き上げ、大きく胸を張って振り下ろす投球フォームから繰り出す直球は常時130キロ~136キロを計測。ストレートには角度があり、コーナーに決まった時のストレートは威力抜群。本人は「ストレートの角度の高さには自信があります」と語るように、高校1年生としては上品のストレートだ。さらに同じ腕のフリから100キロ台のカーブでタイミングを外すのが上手く、立ち上がりは二者連続三振に奪う上々の立ち上がり。115キロ前後のスライダーもあるが、本人も、指揮官も「変化球の制球力が課題」と共通認識。

 しかし3回裏、弘前東の2番須藤 滉生に高めの直球を捉えられ、右中間を破る三塁打。さらにバッテリーミスで同点に追いつかれる。風間はこの回で降板

 弘前東の技巧派左腕・古川 稜人は常時125キロ~120キロ後半を計測。110キロ前後のスライダー、90キロ台のカーブ、110キロ台のチェンジアップを低めに集める投球。特にチェンジアップはストレートのような軌道で減速をしていくため、打ちにくい。このチェンジアップに空振りする明桜の打者が多かった。

 5回表、明桜は3連打で満塁のチャンスを作り、1番加藤 洋平(3年)がライトの頭を超える適時二塁打で2点を勝ち越し。加藤は166センチ70キロと小柄。だが、歩幅を狭め、重心を下げた構えから腰を鋭く回転させて打ちに行く選手。どちらかというと前さばきで打ちに行くが、鋭い体の回転によって強い打球を生み出すことができる。スイング軌道を見ると内回りでスイングすることができるので、ミート力が高い。加藤自身、「僕は当ててしまうことが多いので、なるべく強く振ることを心がけています」とチェックポイントを持って打席に入っている。

 また、スローイング能力も素晴らしいものがあり、軽快なステップからベース上で鋭い送球ができており、タイムも1.85秒~1.95秒で推移している。加藤は「僕は体が大きくないので、大きい人に対抗するには動作のスピードで勝負できないので」と弱みを強みにした。また投手陣に対して、声をかけてしっかりともり立てる姿勢も良い選手だ。


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工藤(明桜)

 2番手の工藤 泰成(3年・右投げ左打ち)が力投。176センチ66キロと細身だが、ノーワインドアップからゆったりと左足を挙げていき、体をコマ回りのように回転させていきながら投げる右のスリークォーター。常時135キロ~140キロのストレートは回転数が高く、120キロ前後のスライダー、120キロ前後のスプリット、チェンジアップも良い。

 被安打を浴びながらも粘り強い投球で、5回無失点の好投。工藤は秋から比べて10キロもスピードアップに成功。要因としては、冬場にランニングを中心としたトレーニングが実った。学校では長距離系、学校近くの一つの森公園では、瞬発系、短距離メニューをこなし、またウエイトトレーニングも肩周り以外のトレーニングを行った。そのため、肩周りがよく動き、胸郭も固くならず、しっかりと回転できるので、鋭い腕の振りが与えられる。それが球速アップにつながった。また変化球もストレートと同じ腕の振りで投げることを意識し、変化球でストライクが取れるようになった。

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古川(弘前東)

 そして9回裏、マウンドに登ったのは背番号1の佐々木湧生(2年・ゆう)が登板。ノーワインドアップから始動。あまり足上げはせず、横回転の強さが目立つ右のスリークォーター。この日はリリースポイントが乱れ気味。というのは、体の近くでうまく腕が回っておらず、乱れ気味。それでも常時133キロ~138キロのストレートは力がある。115キロ前後のスライダーを投げ分け、二死満塁のピンチを招いたが、最後の打者を空振り三振に打ち取り、準々決勝進出を決めた。

 9安打を打たれながらも、135キロ以上の投手が3人いるというのは大きな強みといえるだろう。輿石監督は「ベンチ入りした投手は冬場にトレーニングを頑張って、大きく球速アップをした投手。よく投げてくれました」と工藤、佐々木の投球をたたえた。

 敗れた弘前東は1得点に終わったが、9安打を放った打撃は見所がある。守備もまとまっており、バランスがとれたチームだった。

(取材・写真=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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