光明相模原vs市立川崎
臼井君(光明相模原)
勝者も敗者も、ともに成長のあとを見せた１点差試合
１点を争う攻防の続いた試合は、最後は光明相模原が辛くも逃げ切って３回戦進出を決めた。
それでも、お互いの指揮官は、厳しい試合の中で、それぞれの選手の努力と成長を評価しており、価値ある試合だったといっていいだろう。
光明相模原はスタートメンバーのうち４人が２年生というチーム。
これに対して、市川崎は全員が３年生。
先発マウンドの伊東篤君は、藤田龍清監督も、「まさか、彼が最終的にエースナンバーをつけるようになるとは思っていませんでしたが、冬から春にかけて、本当に努力していました。トレーニングも、一生懸命にやっていました。その結果の１番だったと思います」と、努力を認めていたが、その期待を背負ってのマウンドは、安打はされつつも４回までは光明相模原打線を０に抑えていた。
そして、市川崎は２回には主将・片桐君の右前打など３安打を集中して先制。４回にも２死二塁から伊東君自らのタイムリーで２点をリードした。「５回までに２～３点くらいのリードでいかれれば面白いと思っていました」と、野田克之部長が想定していた通りの展開になりかかった。
しかし、さすがに昨夏もベスト８に残っている光明相模原。５回には元四番でこの試合は七番に入っていた守谷君の右中間二塁打からチャンスを作り、１点を返してなおも満塁という場面で、小林君が一掃の右中間三塁打を放って逆転した。
ところが、市川崎もそれでもひるまなかった。その裏すぐに、中村君、木村君の安打と光明相模原の二つの送球ミスなどに乗じて動転した。そのまま、後半戦に突入することになった。
そして迎えた６回、光明相模原は１死から守谷君がこの日２本目の二塁打を放つと、続く八番原田君の一打が相手の送球ミスを誘って、守谷君がホームイン。結果的にはこれが決勝点となった。
光明相模原の臼井君も、終盤になって、力強さと巧みな変化球を駆使する投球が出来るようになって、市川崎を抑えた。
伊東篤君(市立川崎)
結果的には、あと一歩及ばなかった市川崎。
それでも、藤田監督は、「本当にみんなよくやってくれたと思います。彼らは皆、体育祭ではクラスごとに応援団長になるなど、明るいヤツらなんですよ。３年生の二人の投手が、持てる力を本当に出し切ってくれました」と、敗れはしたものの、選手たちの健闘は称えていた。
市川崎としては、今年、６月からは学校そのものが中高一貫校とするということで新校舎建設の工事に入り、グラウンドが使えない状態が約４年続くという。藤田監督としては、前任校の市立橘と同様、またしてもグラウンドのない環境での野球部指導ということになってしまった。それでも、そんな環境には慣れていると言わんばかりに、次へ向けて意欲を示していた。
昨夏はベスト８進出。このところ安定した実績を残している光明相模原。
今春から、チームを指揮することになった芝崎広之監督は、「実は、春のブロック予選でも１点リードしていて追いつかれているんですよ。それと、同じシチュエーションだったんですけれど、今日はそこで打順も上位に回ってくるところだったんでいけれども、臼井が抑えてくれました。これは、大きな成長と言っていいでしょう」と、評価した。
しっかり腕を振っていこうというテーマもきっちりと守れたということである。一番大事なところで、課題をクリアしていたということでも、芝崎監督としては苦しみつつも、２年生の多いチームだけに、勢いづいていく可能性も感じているのではないだろうか。そんなムードが漂っていた。
（文＝手束 仁）
