顔を上げて取り組む敏捷性トレーニング
細かい動きほど足元が気になりがち。顔を上げてトレーニングを行おう
体のキレを意識した動きづくりをしたい、敏捷性を鍛えたいというとき、素早く切り返す動作を繰り返したり、合図による反応時間を早めるようなトレーニングを行うことがあると思います。チームによってはラダーやミニハードルなどを使うこともあるでしょう。そのときに意識してほしいことが「顔を上げる」こと。トレーニングの様子をよく観察してみると、下を向いている選手がかなり多くいます。
基本的なことですが、トレーニングの時に「顔を上げる」ことを意識させるのは、野球のプレーでも顔を上げることが必要だからです。敏捷性が求められる切り返し動作は主にランナーとしての走塁時や、守備機会により多く見られますが、この時に下を向いてしまうと視覚による判断が遅れ、一歩目の反応に時間がかかってしまいます。またグランド内で下を向いていると、送球や打球が体に当たるといったアクシデントによるケガのリスクも高まります。
特にラダーやミニハードルなどを使ったトレーニングでは、足元を気にするあまり顔が下に向いてしまいがちですが、まずは下を向かないでできるようにするところから始めていきましょう。このときはあまり複雑な動作を行うのではなく、比較的やりやすいドリルから取り組むようにしましょう。少しずつ慣れてきたらより複雑な動作を行ったり、スピードを上げたりしながら敏捷性を鍛えるようにします。また足元が引っかかっても大きなケガにつながらないように、ミニハードルの方向を揃えたり、ラダーの周辺には広いスペースを確保したりすることも大切です。
体のキレを意識したダッシュでも顔をしっかり上げて行うようにしましょう。頭の中で実際のプレーを想定してみると、下を向いていては牽制で刺されるような場面が出てくるかもしれません。視覚による情報と反応、そして判断力を鍛えることが素早い動きを支えます。トレーニングの時には常に「顔を上げる」意識を持って取り組むようにしましょう。
文:西村 典子
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