鶴丸vs加世田
「我慢比べ」を制す!・鶴丸
サヨナラで勝利し喜ぶ鶴丸の選手たち
鶴丸・濱﨑 春来(3年)、加世田・揚野 尚健(3年)、両先発右腕が好投し、10回まで両者無得点と、文字通り「1点を争う」引き締まった好勝負だった。濱﨑は2死球、揚野は1四球と両者とも制球が安定しており、テンポ良く淡々と試合が終盤まで進んだ。
濱﨑は高低左右のコース、直球と変化球の緩急を自在に使い分け、巧みに相手の狙いを外す投球が冴え、7回一死まで無安打と付け入るスキを与えなかった。
一方、揚野もヒットは打たれるも先頭打者を確実に打ち取り、要所では丁寧な投球を心掛け、得点を許さなかった。
4回裏、鶴丸は二死から3連打を放ち、ライト前ヒットで二塁から生還を狙うも好返球でタッチアウト。
10回表、加世田は二死一二塁で7番・揚野がセカンド強襲打を放ち、二走が本塁を狙うも、こちらも好返球でタッチアウト。好投を続ける両投手を何とか助けようと、両チームの守備の集中力も上がり、好守で盛り立てた。
11回裏、鶴丸は先頭の3番・横山 樹貴主将(3年)がセンター前ヒットで出塁。2つの送りバントが内野安打、野選となり無死満塁。最後はまさかのボークで決勝点が入り試合終了。2時間11分の熱戦を制した。
「我慢比べをしよう!」
鶴丸・福田健吾監督はナインを鼓舞し続けた。守備では濱﨑が好投し、相手より多くのチャンスを作って押し気味に試合を進めるも、なかなか1点が遠い。こういう展開は最初劣勢だった方が、ピンチをしのぎ続けると、後半ワンチャンスをものにして競り勝ってしまうことが往々にして起こり得る。
案の定、7回に初安打が出てからは、加世田が7、10、11回と得点圏に走者を進め、盛り返した。弱気になったら一気に流れが相手に行きかねない中で「自分たちのテーマは団結力。相手が100%の力でくるなら、こちらは120%出し切る」(横山主将)ことを心掛けた。守備の集中が最後まで途切れず、得点を許さなかった。最後はまさしく我慢比べに競り勝って決勝点を得た。
以前はこういう展開で我慢できず、自滅することも多かったが「逆にベンチの雰囲気が厳しくなるごとに盛り上がっていった」と福田監督。「試合の中で選手たちが成長している」のを感じられた一戦になった。
(文=政 純一郎)