10月20日に予定されているプロ野球ドラフト会議が迫ってきた。今年の高校生投手のなかで、12球団から注目されているのが、帝京長岡(新潟)の茨木 秀俊投手(3年)だ。

 182センチ、85キロと恵まれた体型から最速147キロの速球に、「魔球」と呼ばれるチェンジアップ、切れ味抜群のスライダーを武器に持つ、12球団のスカウト視察済みの本格派右腕。後編では夏の大会前に語った1000球投げ込みでつかんだことについて語ってもらった。

 茨木は最後の夏の大会を前に「気持ちで乗り切りました」と振り返るのが、6月に行った「6日間で1000球」の投げ込みだった。これは帝京長岡投手陣全員ではなく、茨木のような一定以上の基礎能力を持ち、故障もない投手に課せられたものであった。現代では球数が議論されて、1週間の球数を管理されることもある中、かなりハードな練習だといえる。

 この1000球の投げ込みでは、直球、変化球も投げる。茨木は、無駄な力を入れず、いかに効率よく体を使って切れのある直球を投げることができるかを意識した。どんな思いで乗り越えてきたのか。

「精神面で鍛えられて、低めに投げることも同時に言われていたので、低めに投げることを意識しながら気持ちで投げていました」

 この投げ込みだけではなく、トレーナーから指定されたメニューもこなしていきながら、強化練習を過ごしていった。1000球を投げ終え

「ヘトヘトというか、次の日になって疲れがありました。

連投はできる方なので、筋肉痛はありましたが、そんなに苦だとは思わなかったです」

 しっかり、トレーニングや体力づくりを行ってきたから、その言葉を口にできるのだろう。1000球を投げ終え、つかんだものは多いという。

「最初から低めにいい球がいくようになりましたし、ゲームを作るという点では成長したと思います。コントロールも良くなりましたし、自信がついたと思います」

もちろん1000球の投げ込みは推奨できるものではない。だが、茨木なりにつかんだものがある。

「投げていく中でわかってくることもありますし、その中でどうやったら良くなるかというのはずっと考えてやっていました。あの練習があったおかげで集中力もついて、1試合を通して投げられるようになったので、やって良かったなと思います」

 決め球となるチェンジアップも、1000球の投げ込みの中で感覚をつかんでいったという。

 夏の大会は、決勝まで勝ち進んだ。決勝の相手は県内を代表する剛腕・田中 晴也投手(3年)を擁する日本文理だった。試合は延長11回に及ぶ熱戦となり、惜しくも敗れたが、茨木は「負けてしまいましたが、楽しかったです」と語る。

 田中の存在は刺激となったようで、「勝てないと甲子園には行けないと思っていたので、なんとか勝ちたいという思いでやっていました」

新潟県内にライバルがいたことも大きいだろう。茨木は3年間で成長を見せて夏を終えた。

 

 夏を終えて、怪我しない体作りをテーマに取り組んできた。今でもベスト体重の85キロを維持している。

 元プロの芝草監督からは投手としての技術だけではなく、心構えも学んできた。

「精神論については強く言われてきたので、精神面は強くなったと思います。

投球時に表情に出ていると言われたので、ボール球でも表情に出さずに、相手に強い気持ちで向かって行けと言われていました」

 3年間、帝京長岡で成長できたことへの感謝の思いを口にしながら、ドラフトへ向けての意気込みを語った。

「楽しみという気持ちが大きいです。将来は勝てる投手というのは目標にしているので、勝てる投手になれるように頑張りたいと思います」

 高校生でもトップレベルの本格派右腕へ成長した茨木。芝草監督の下で厳しく鍛えられた技術、体力をプロの場で発揮し、活躍することが恩返しとなる。

(取材=河嶋 宗一

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