Interview

社会人野球を代表するホームランアーチスト・今川優馬(JFE東日本)「信念を貫いた結果が社会人野球の舞台で開花する」vol.3

2019.12.21

 2019年社会人野球ベストナインを獲得した今川優馬(JFE東日本 東海大四出身)。前回では好打者からスラッガーへ化ける過程を描いたが、最終回では社会人入りしてからの活躍を描いていく。そして2020年にかける意気込みをうかがった。

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社会人野球を代表するホームランアーチスト・今川優馬(JFE東日本)「高校通算は2本塁打。レギュラーを必死に目指した3年間」vol1
社会人野球を代表するホームランアーチスト・今川優馬(JFE東日本)「監督に打撃スタイルを否定されても、自分の信念は曲げなかった」vol2

社会人野球でさらに打撃が進化

社会人野球を代表するホームランアーチスト・今川優馬(JFE東日本)「信念を貫いた結果が社会人野球の舞台で開花する」vol.3 | 高校野球ドットコム
今川優馬(JFE東日本)

 JFE東日本に入社した今川はワクワク感でいっぱいだった。それは自分の打撃スタイルを認めてもらえただけではなかった。
 「同期には峯本匠大阪桐蔭出身)、平山快東海大相模出身)、岡田耕太敦賀気比出身)と高校時代からスーパースターの選手と一緒にプレーできることにワクワクしていました。実際に一緒にプレーしたらすごい選手たちで、毎日、彼らと一緒にプレーできることは幸せですね」

 そして外野手のレベルも高く、層の厚さを感じながらもやりがいを感じていた。プロ入りするために守備・走塁が課題だと思っていた今川は元プロの山森 雅文コーチから質問しながら、スキルアップを行っていた。

 自慢の打撃もJABA東京スポニチ大会で本塁打を打つなど早くも頭角を現していく。すぐに対応ができるようになったのは札幌六大学の投手たちと対戦した経験が大きい。
 「社会人野球の投手にもすぐに対応ができたのは、レベルが高い札幌六大学の投手と対戦していた経験が大きかったと思います。社会人野球で活躍したい思いはプロ入りするためだけではなく、自分が所属していた札幌六大学のレベルの高さを証明したい気持ちもありました」

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ティーバッティングをする今川優馬(JFE東日本)

 社会人野球に入ってからの成長点として配球の読みが鋭くなったと今川は語る。
 「社会人野球の投手は、大学で対戦してきた投手と比べると、コントロールが良い投手が多いです。だから球速は遅くても駆け引きで勝負する投手が多いので、配球を読んだり、癖が分かるために試合前の準備はしっかりと行います。その準備は社会人野球に進んだから行ったことではなく、大学時代から行っていたことでした。その積み重ねによって研究方法が進化し、配球を読み、変化球を打てる技術が上がったと思います」

 大学時代から打撃について深く追求していた今川にとって社会人野球はさらに自分のポテンシャルを引き出す場になっていた。そんな今川が大きく注目を浴びる機会となったのは、6月26日の侍ジャパン社会人代表の練習試合だった。なんと3本塁打を放ち、注目を浴びる。

 今川は「自分でも驚きで、できすぎの打撃でした」と振り返るが、今川はトップレベルの投手にも対応ができることを証明しつつあった。そして都市対抗二次予選は第一代表として、3年ぶり23回目の出場を決める。今川は先輩たちの姿を見て、社会人野球を実感する。

 「2年も出ていないので、会社からのプレッシャーも強く、社員の方々から『今年は出てよ』と声かけてくれるんですが、出られない苦しみが新人の僕にはあまり分からなかったんです。

 でも優勝が決まった瞬間、先輩の方々がみんな泣いていて、先輩たちがここ(都市対抗)にかけていたんだなというのが初めて実感ができました。だから都市対抗でもっと頑張りたいと思いました」

[page_break:社会人2年目は打撃スタイルすべて取るつもりで]

社会人2年目は打撃スタイルすべて取るつもりで

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笑顔を見せる今川優馬(JFE東日本)

 初めて迎えた都市対抗は最高の気分だったと興奮気味に語る。
 「まずあれほどの大観衆の中で試合をして応援してもらうのは僕にとっては初めての経験で、本当に楽しかったですね」

 そして準決勝では東芝の宮川哲(埼玉西武ドラフト1位 東海大山形出身)から本塁打を放ち、勝利に貢献した。
 「打った瞬間、最高でしたね。あの瞬間が大会通じて最高でした」

 決勝戦にも勝利し、1年目から都市対抗優勝を果たした。
 「あまり実感はなかったです。もっと試合をしたかったですね。あんな大観衆の中、応援してもらって試合に勝てて、最高の1か月だったので。大会が終わって、もう終わりという感じですね」

 この1年の全国の舞台での活躍が認められ、今川は社会人ベストナインを受賞した。しかし今川は1年目のパフォーマンスには満足していない。
 「公式戦の3本塁打という数字は満足していないですし、もっと打てたと思います。1年目は打撃フォームで試行錯誤して調子を落としたこともあって、ふがいないシーズンだったと思います」

 それでも公式戦打率.349、3本塁打、14打点。オープン戦を含めると年間16本塁打はやはり社会人若手選手の中でもずば抜けた数字だろう。

 今川の野球人生を振り返ると、いろいろと苦労があった。そんな今川の座右の銘は「雨垂れ石を穿つ」。苦しい中でも、自分の信念を曲げず、努力を継続した結果、技術的にも精神的にも強い選手へ成長した。

 そして2年目へ向けて今川は
 「公式戦10本塁打。打撃タイトルはすべて獲るつもりでやっていきたいです」

 規格外の数字を残し、ずっと目標にしていたプロの世界を切り開く。

(取材=河嶋 宗一

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連載 2020年インタビュー
vol.1を読む⇒社会人野球を代表するホームランアーチスト・今川優馬(JFE東日本)「高校通算は2本塁打。レギュラーを必死に目指した3年間」
vol.2を読む⇒社会人野球を代表するホームランアーチスト・今川優馬(JFE東日本)「監督に打撃スタイルを否定されても、自分の信念は曲げなかった」

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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