自分が走りやすいメンタル、感覚、アイテムを大事に 荻野貴司(千葉ロッテ)の走塁術【後編】
前編では走塁に目覚め、走れる選手になるために社会人では脱力した走り方にモデルチェンジし、投手の観察の仕方も工夫したと語った荻野貴司選手。後編ではプロに入って、どう走塁をレベルアップさせていったのか。そこには荻野選手なりのこだわりがあった。さらに荻野選手のパフォーマンスには欠かせないスパイク「コウノエベルトスパイク」にも迫っていく。
ガムシャラさから脱力を追求 荻野貴司(千葉ロッテ)の走塁術【前編】
高い盗塁率を生み出す走塁技術
愛用のコウノエベルトスパイクを手に取る荻野貴司選手(千葉ロッテマリーンズ)
ーー 千葉ロッテマリーンズにドラフト1位指名で入団し、プロ1年目から走塁面で進化したものはありますか。
荻野貴司選手(以下、荻野) 1年目は自分が求める走塁技術の完成の途中で、走る中で力みやガムシャラさがありました。ガムシャラにそれもよいところがあったと思うんですけど、体への負担がかかっていてケガもありました。ケガをしないために、体への負担を減らす走り方にシフトしていった感じですね。今もそれを突き詰めているところです。
ーー 荻野選手は通算173盗塁、失敗は27と盗塁成功率は80パーセントを超えます。高い確率で盗塁を成功するための方法を教えていただきたいのですが、まず投手への観察面についてプロに入って改めて意識していることはありますか。
荻野 投手の観察になると、自分の場合、癖とかはみないので、雰囲気や投手の間を見ていけたら行く感じですね。
ーー 感覚を研ぎ澄まして盗塁を成功させるというのはなかなかできないことだと思いますが、日々の観察の中で行っているのでしょうか?
荻野 やはり投手も一緒の投手が投げるわけではないので、感覚や雰囲気をつかんでどうスタートを切るのかを考えています。
荻野選手愛用のコウノエベルトスパイク
ーー 盗塁面だとスライディングも大事だと思いますが、荻野選手のスライディングはスピードが落ちない印象を受けます。スライディングではどんなことを意識されていますか?
荻野 スライディングは、できるだけスピードが落ちないのは大事だと思っていて、遠くから滑ると落ちるので、近すぎるときもあって、危険やなと思われてもスピードを落とさずに、アウトになるかなと思われるタイミングでも、セーフになれるスライディングをやりたいなと考えています。
ーー また、走れる選手のリードを見ると結構広い印象を受けるんですが、荻野選手はリードを広めにとる選手でしょうか?
荻野 僕の場合は狭いと思います。なぜかというとリードが広いと投手はどうしても牽制をする確率が高いじゃないですか。牽制を意識したくないというか、スライディングをして帰塁することに集中したくないので、ある程度戻れる距離でリードして、気持ちを楽にしてやっています。だけれど小さいといわれます。
ーー 荻野選手は盗塁をするために感覚を大事にしていると話をされていました。自分が走りやすい心理にするためにリードを狭めにする理由もわかります。
荻野 僕の中ではそうですね。やっぱりランナーコーチャーの方には「あと1歩、2歩」といわれるんですけど、そうとってしまうと気持ちの不安材料が増えて、スタートが切れないというのがあるので、僕の中では広くない方がスタートが切りやすいです。
スタートが切りやすいリードというのは人それぞれだと思いますし、自分の場合は狭めのリードだと思います。
コウノエベルトスパイクとの出会いにより、理想のスパイク像が見つかる
コウノエベルトスパイクについて語る荻野貴司選手(千葉ロッテマリーンズ)
ーー 盗塁ができる選手というのはスパイクの選び方にこだわりがあるように感じます。荻野選手の場合、どんなスパイク選びをされていましたか?
荻野 今まではこだわりがなくて、渡されて、自分の中で履けるスパイクを着用していました。ある時、スパイクを履いて疲れを感じるようになっていたんです。そこで足が疲れにくいスパイクが欲しいと思うようになり、そこで、そういうスパイクを作れるメーカーさんを探していて、デサントさんから「作るよ」といわれて、2017年のシーズン前にデサントさんにお願いするようになりました。
ーー 荻野選手が着用する「コウノエベルトスパイク」を開発した鴻江寿治トレーナーのインタビューでは、荻野選手の膝の水が3日で抜けたというエピソードが印象的でした。
荻野 膝を手術してからずっと不安がありまして、足元が疲れてくると膝にも負担がたまって、水がたまっていたんです。だけれどスパイクを変えてから膝の水が溜まりにくくなりました。
ーー 履いた瞬間、どんな感覚になりましたか。
荻野 履いた瞬間、楽やなと感じましたね。ベルトもそうなんでうけど、足の甲を締め付けることでちゃんと指が使える。指も固まっていた状態で動いていてストレスがたまった状態で動いていたので、このスパイクに変えたことで足の指が動くので、ストレスが減ったかなと思います。
ーー いろいろな選手に話を聞くと、スパイクを選ぶ理由に「フィット感」を挙げる選手が多くいたのですが、今回のスパイクはそのフィット感のレベルが違うのでしょうか?
荻野 今までのはフィットし過ぎたかもしれません。足の指が動かなかったんですよね。締めるところは締めて、動くところは動く。そういう感じが良かったです。
ベルトが大きな役割を果たしている
ーー 実際にこのスパイクにしてから走塁面ではどこにいきてきましたか?
荻野 足と靴のブレがなくなったところですね。このスパイクにしてから足が動いてぶれなくスパイクが動く感じがあります、ちょっとした感覚ですが、自分の足の動きにスパイクがついていっていて、自分の足の力をしっかりとスパイクが感じ取ってくれますし、走りとしては安定感が出てきました。
実際にこのスパイクに着用してからは、膝に関しては問題なくやれています。
ーー スパイク選びについて高校球児にアドバイスするとしたらどんなことをアドバイスされますか。
荻野 履いて疲れにくいもの。まず履いてどう感じるのかが大事で、軽さといっても持った軽さではなく、履いてみて軽く感じるかどうか。実際に履いてみて走ってみて、違和感がなければ自分のスパイクにするべきかと思います。
ーー 2019年へ向けてどんなパフォーマンスを見せていきたいでしょうか?
荻野 僕が皆さんに見せられるところは足しかないので、1つでも多くの盗塁ができる姿を見せたいと思います。
ーー 最後に高校球児へ目標を達成するためにアドバイスをお願いします。
荻野 やはり目標を設定して近づいていけるようにすること、コツコツと1日を大切にして1日終わって成長できたと感じられるような1日を過ごせればと思います。
といっていますが、僕の場合は、正直、甘い考えでやっていたと思いますので、そういう考えでやっていたらもっと早くプロ入りできていたと思いますし、皆さんも1日を大事に過ごしてください。
※コメントは個人の感想であり、製品の機能性を保証するものではありません。
文=河嶋 宗一
鴻江トレーナーへインタビュー!
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