プロ野球が開幕して1ヶ月が経ちます。今、リーグ上位の成績を残している選手を見ると、高校時代から期待通りに成長した選手もいれば、見違えるようなパフォーマンスを見せている選手たちがいます。今回は想像を上回る成長を見せた選手たちの高校時代を振り返っていければと思います。

高校時代は控えで、学生時代は故障も多かった山崎伊織が別人のような成長!

 まず1人目は巨人の山崎 伊織投手(明石商)です。ここまで4試合、28回を投げ、26奪三振、防御率0.00と4月の月間MVPの最有力候補となっています。今の山崎投手は常時140キロ後半の速球、鋭く落ちるフォークを操り、制球力も抜群。高校時代とは別人のような投手となっています。

 明石商時代の山崎投手はエースではありませんでした。当時は2番手投手で、エースは日本生命でプレーする吉高 壯投手(日本体育大-日本生命)がいました。吉高投手は高校生としてはかなり完成度が高く、140キロ前半の速球に複数のフォークを操り、試合展開に応じて力の入れ加減ができました。山崎投手は長身で伸びのある速球が魅力でしたが、まだ投球がしっかりできるタイプではありませんでした。唯一、球場で見られたのは2年秋の県大会。山崎投手はリリーフで登場し、142キロは出ていましたが、打ち込まれてしまい、あっさりと降板してしまいました。それでも、長身でしなやかな投球フォームから繰り出す伸びのある球質に将来性を感じたことを覚えています。

 しかしセンバツでは登板がなく、春の県大会では最速148キロをマークしたと聞き、再び兵庫に足を運びますが、私が見る試合では登板がありませんでした。明石商は県大会で優勝し、近畿大会に進みましたが、山崎投手は、肘の故障でベンチ外。成長した山崎投手を見られることなく、高校時代を終えました。

 東海大時代は大きく成長し、3年春の大学選手権では立命館大戦で最速153キロをマークし、大学日本代表に入りました。この時は150キロを超える速球とフォークを鋭く投げ込んでおり、20年のドラフト1位候補に挙がります。ラストイヤーでは肘を痛め、トミー・ジョン手術を決断。それでもプロ志望届を提出し、巨人から2位指名を受けます。

 高校、大学と大事なところで怪我をする事が多く、さらに稼働数が多くなるプロの舞台では不安に感じましたが、山崎投手は予想を上回る投球を見せます。リハビリを終えたプロ2年目の22年から先発ローテーションに入り、20試合中、17試合に先発し、5勝をマーク。23年から2年連続で二桁勝利と規定投球回に達しました。

 そして今年はさらに昨年以上の投球を見せています。山崎投手は高校時代から次のステージでもパワーピッチャーで活躍できる素質を秘めていました。ただ怪我が多く、なかなか持ち味を発揮できていませんでした。故障に泣かされてきたドラフト候補を多く見てきましたが、山崎投手がエースへ成長できたのは、本人の意識改革と巨人の首脳陣の育成方針が実ったと思います。

怪我でブレイクを逃したプロ6年間。7年目は全盛期のきっかけになる1年を

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