リリースポイント(8)~グローブ側の位置について~
センバツ出場校も決定し、その他のチームも春季大会へ向け、実践形式の練習に取り組んでいるところでしょう。投手も投げ込みや投球フォームをチェックし、練習試合解禁日に調整しているのではないでしょうか?今一度、このコラムを読み直し、自分のフォームで修正すべき点を再チェックして下さい。
リリース時にグローブ側の肩が見えるのが理想
さて今回はリリース時のグローブ側の位置について説明します。今まで、肩に対する、肘の位置、手の位置は紹介してきましたが、それがちゃんとした位置にあったとしても、グローブ側の肩の位置が悪い選手が多く見られます。
それはどのような状態かと言うと、写真1のように、正面から見ると『はっきりとグローブ側の肩が見えていない』のです。これではせっかく肩・肘・手の位置が正しい位置関係にあったとしても、体に対する腕の位置が正しい位置にないと、力は伝わり難くなりますし、リリースポイントも肘や手首、指などで調整することになりコントロールも定まり難くなります。
理想は写真2のように、リリース時にはっきりとグローブ側の肩が見える状態となります。この状態をまずしっかりとイメージして下さい。
なぜグローブ側の肩の位置がこのようにはっきりと見える状態にならないのか?これには投球動作における『間違ったイメージ』を持った選手に多い動きとなるのですが、皆さん次の質問に答えて下さい。
下の図(図1)の説明をします。青い棒に糸で繋がれた白いボールがあります。このボールを矢印の様に『前に』、前に力を加えます。そうするとボールはどうなるでしょうか?皆さん考えてみて下さい。
ボールは回すのではなく、勝手に回るもの
では答え合わせです。正解は…白いボールは青い棒の周りをくるりと回ります(図2)。前にしか力を加えていないのですが、白いボールは糸で青い棒に繋がれていますので、勝手に棒の周りを回るのです。
これを選手たちに聞くと(選手たちだけじゃなく保護者も間違える方が多いですが…)、ボールを前に進める選手が多いのです。これはどういう意味かというと、
『ボールに回す力を加えないと、ボールは回らない』と考えている(イメージしている)からです。
これは投球動作にも言えて、投球動作において投げる側の腕は自分の身体の周りを回ります。自分の身体の近くから、リリースポイントで身体から離れてその後、身体の前を通り、グローブ側へ腕は回っていきます。
これを上記の『ボールに回す力を加えないと、ボールは回らない』と考えている(イメージしている)選手はどうするかというと、
『ボールを回そうとする』のです。
ここで図と実際の投球動作の関係を説明すると、『白いボール』は『手』で、『糸』は『腕』、そして『青い棒』は『体幹(身体)』となるのです。
[page_break:必要なのは『前に』力を伝えること]必要なのは『前に』力を伝えること
必要なのは『前に』力を伝えること
『白いボール』=『手』
『糸』=『腕』
『青い棒』=『体幹(身体)』
何が言いたいかと言うと、『白いボール』=『手』は回そうとしなくても、『糸』=『腕』で『青い棒』=『体幹(身体)』に繋がれているので勝手に回る、つまり『手』=『白いボール』を回そうとして、『体幹(身体)』=『青い棒』を回さなくていい、ということです。
話を戻すと、グローブ側の肩が見えない選手は、体幹(身体)を回し過ぎているのです。その原因に、前述した『間違った考え(イメージ)』が大きく関与しています。
ボールはもちろん『前に』投げます。そのボールに力を伝えるのは『手』です。この『手』は『前に』力を伝えるべきで、『回す』必要は全くありません。勝手に回ってくれますので。
腕の振りの時に説明しましたが、骨盤が回転し、体幹(身体)は捻られ反られます。その体幹(身体)を戻すことで腕は回され振られます。リリースの時に体幹(身体)を回すわけではないのです。リリース時にはとにかく『前に』力を加える。そういうイメージで投げてもらえば、このようにグローブ側の肩がはっきり見えないようなフォームにはならないと思います。
これはリリースでの大事な『イメージ』になるます。重要になるますので、ぜひしっかりとチェックをして、再確認して下さい!
次回はリリースポイントで必要なトレーニングをお伝えしたいと思います。
【これまでのリリースポイントについてのコラムもチェックしましょう!】
■リリースポイント~自分のリリースポイント知っていますか?~
■リリースポイント(2)~自分のリリースポイント知っていますか?~
■リリースポイント(3)~自分のリリースポイント知っていますか?~
■リリースポイント(4)~自分のリリースポイント知っていますか?~
■リリースポイント(5)~自分のリリースポイント知っていますか?~
■リリースポイント(6)~リリースポイントを前にする~
■リリースポイント(7)~股関節を曲げる角度とリリースストップエクササイズ~
(文・写真:久保田 正一)