甲子園で光った新世代を牽引する永野司(倉敷商)、笹倉世凪(仙台育英)の2人のサウスポー
新時代を担っていく2年生が甲子園で確かな足跡を残した。
15日の3試合目に登場した倉敷商と仙台育英の両チーム。試合は中盤に点数を重ねた倉敷商が6対1で勝利をしたが、この試合で存在感を放った2人の2年生左腕を見ていきたい。
2003年世代を牽引するサウスポー2人
永野司と笹倉世凪
まずは中学時代から注目されてきた仙台育英の笹倉世凪。5番・ファーストでのスタメン出場だったが、3打数1安打という結果に終わった。5番として打点を挙げることはできなかったが、笹倉の中では1年前からの成長は感じ取っていた。
「去年の甲子園では外角のボールをはじめ、バットを振りに行けないケースが多くて見逃し三振などが多かったです。それを踏まえると2度目の甲子園は積極的に振っていけたのは成長していると思います」
成長した姿を見せようと甲子園に戻ってきた笹倉にとってはやりたいことはできた。そして8回にはファーストの守備からマウンドに上がったが「ピンチの場面で行くことは考えていました。逆転への流れを作る投球をしようと思っていました」としっかりと気持ちの準備をしてきた。
打者2人だけではあったが、8球で抑えるピッチングで追加点は許さなかった。一塁側のプレートを使って高く上げた右足にグラブを当ててリズムをとって、ややインステップ気味に右足を踏み込んでいく。身体を縦に回転させながらスリークォーター気味の高さからは140キロ近いストレートで倉敷商のバッターを抑えた。
少しばかり伸びあがるのが早い気もするが、2度目の甲子園のマウンドとあって、昨夏にはない落ち着いた雰囲気をもって投げているのが印象的だった笹倉。いよいよ最高学年となり、最後の1年間が始まる。笹倉は強い覚悟をもっていた。
「チームを引っ張るのは当たり前のように自分たちはやらないといけない。その中で自分は投打で引っ張って世代を代表する選手になりたいと思います」
その笹倉が「テンポが速くてついていけなかったですし、外角にボールがどんどん来ていた」と語ったのが倉敷商の永野司だ。
神宮大会でも投げた最速141キロ左腕。香川卓摩(現JFE西日本)を彷彿させるような足を高く上げてから、テンポの速い投球フォームが印象的な永野。ただ香川とは違い、横に身体を捻り、スリークォーター、サイドスローくらいの高さからストレートに横に大きく曲がるスライダー。さらに緩急をつけたチェンジアップと、ストライクゾーンを広く使ったピッチングで左打者が上位に5人並んだ仙台育英打線をを翻弄した。
「ストレートのコントロールが良く投げられたこと。そして先輩方の声掛けもあってテンポよく投げられました」と自身のテンポよさの要因を分析。ストレートが制球出来た分、ボールが先行してもカウントを整えられたことがテンポに繋がったのだろう。仙台育英相手に6回を投げて被安打4、奪三振7、無死四球という結果は自信に繋がったはずだ。
まだ2年生である永野にとっても最後の1年となる。
「仙台育英のような強豪校は体が大きく凄いと思いました。そういった選手たちと比較すると劣っている部分は多いので、そこを補って選抜に出られるように頑張ります」
笹倉と永野の同級生サウスポーの投げ合いが甲子園で実現するか。この1年間の2人の成長を楽しみにしたい。
(取材=田中 裕毅)
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