目次

[1]春先によく見られる胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群/肘の後方部が痛くなる
[2]ウォームアップを入念に行う/上体だけで投げていませんか?/春に起こりやすい肩痛・肘痛を予防しよう


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 春の温かさが続いていますが、皆さんのチームはどのように過ごしているでしょうか。地域によってはいまだ十分に練習ができないチームも少なくありませんが、今できることをしっかりと取り組んでもらいたいと思います。さて今回はボールを使った練習が増えてくるにしたがって、増えてくる肩痛・肘痛について考えてみたいと思います。気候的なものと、本格的に投げはじめるという条件がそろうとやはり肩や肘が痛いという選手が増えてくるようです。

春先によく見られる胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群


 投げはじめの選手によく見られるものの一つに「上腕が締めつけられるように痛い」というものがあります。中には上腕だけではなく、肘から前腕にかけても痛みがあったり、力が入りにくいといったことが起こります。話を聞いてみると「急に投球数が増えた」というケースが多く、繰り返される投球動作によって肩から首にかけての筋肉が緊張して血管や神経を圧迫することで一因と考えられます。

《胸郭出口症候群とは》
心臓と肺を囲んでいる骨格部分を「胸郭」と呼びます。「胸郭出口」とは心臓からの血管が胸郭から腕へと出ていく出口部分を指し、一般的には鎖骨と肋骨のすき間部分のことをいいます。この胸郭出口は血管や神経の通り道となっているのですが、もともとすき間が小さい上に、腕を挙げる動作によってさらにすき間が狭くなることが知られています。この動作を繰り返すと血管や神経はこの胸郭出口付近で締め付けられることになり、頻繁にこの状態を繰り返すと上腕だけではなく、手や首、肩の痛みが起こったり、しびれや指先が冷たいといった冷感を伴ったりするようになります。

肘の後方部が痛くなる

 投げた後に肘の後方部が痛くなるというケースもよく見られます。投球を繰り返すことによってフォロースルー時の腕の振りが上腕の後ろ側につく上腕三頭筋に負担をかけ、痛みを感じるようになるものです。フォロースルーの時は上腕三頭筋が伸ばされながら収縮するという遠心性の力が加わるので、より大きな牽引力が肘にかかります。上腕三頭筋は肩の後ろから肘の後ろにかけて付着する筋肉なので、肩後方部の筋肉が硬くなっていると肘痛の要因ともなります。