足指エクササイズの重要性と方法
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。
オフシーズンは自分の身体と向き合い、自分のコンディションをよりよい状態にレベルアップさせる最適な時期といえるでしょう。地面に足をついて行う動作は必ず足裏が体重を支え、野球のパフォーマンスアップにも貢献しますが、その面積は意外と小さく、普段意識することも少ないのではないかと思います。
今回は、足裏がより機能的に動くようにするための足指チェック方法とエクササイズをご紹介します。
「浮き指」になっていないかチェックしよう
健康な足は三点で地面をとらえるのに対し、浮き指の足は二点保持となり、バランスを崩しやすい
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裸足でまず地面に立ってみましょう。自分の足がいわゆる「浮き指」になっていないかをチェックしてみましょう(図184-1)。上からチェックしても指が浮いているかどうか見逃しやすいので、誰かに横から確認してもらうか、もしくはレポート用紙程度の紙をつま先の方から地面に沿わせていき、足指のところで紙が止まるかどうかを確認します。紙が指のところで止まらず、足裏まで滑り込んでいくようであれば浮き指になっている可能性があります。
体重を支える足裏は、指と指の付け根部分(拇指球のライン)と踵(かかと)部分の3点で身体を支えているのですが、浮き指になっている選手は指の支点が使えないため、指の付け根部分と踵部分の2点保持になってしまいます。2点保持の状態でバッティングやピッチングをしようとするとどうしても体重がかかと部分に乗りやすくなってバランスを崩してしまったり、片足で立ったときにバランスが保てずにグラグラと不安定な状態になったりすることが予想できます。
また、地面の反力を活かしてパワーを出そうとするときも、足指が浮いた状態では、力の伝達がうまくいかずに、持っている力はあるのにそれを発揮できないといったことも考えられます。足からの力がうまく伝達できないと、何とか力強く動かそうと上半身に頼った動作になってしまい、上肢のケガをしてしまうことも安易に想像できます。
[page_break:足指のエクササイズ]足の浮き指を改善し、足裏の機能を高めるために自宅でもできるエクササイズをご紹介しましょう。
足指のエクササイズ
足指を十分に反らしながらのカーフレイズ、足指を丸め込んで指とすねを伸ばすストレッチをセットで行いたい
足指のグーパー
座った状態で裸足になり、足指を握りこんでグー、足指を大きく開いてパーと繰り返し動かすようにします。特にかかと重心になっている場合は小指や薬指が浮きやすく、動きがにぶくなっていることが多いので特に意識しながら行うようにしましょう。足指に動きにくさがあるときは手でサポートして行うようにします。入浴後はもともと裸足ですので、ストレッチと一緒にセットで行うと習慣化しやすくなります。
足指と手指の握手
裸足の状態で手と足をつかって握手をするように指を1本1本組み合わせます。そこから足首をゆっくり回すようにすると足指への刺激とともに足首の柔軟性が高まることが期待できます。左右とも10回程度回すようにしましょう。
足指を使ってつま先立ち・足の甲のストレッチ
ふくらはぎを鍛えるエクササイズを裸足で行い、足指を特に意識させるようにします。体重がかかることで足指を大きく動かすことが出来ます。自重で10回程度をめどに行うようにしましょう。またこれとセットで足の甲を伸ばすストレッチを行い、反対方向にも刺激を加えるようにするとすねの部分がストレッチされ、足裏全体の機能改善にもつながります(図184-2)。
足の指が地面全体をしっかりとらえられるようになると、重心位置が変化し、かかと体重の姿勢が改善されてパフォーマンスアップにつながります。また姿勢の崩れから腰痛などを引き起こすことがありますので、ケガ予防としても足指の機能をよくすることは野球選手にとって必要不可欠といえるでしょう。こうしたトレーニングを日課としてぜひ取り組んでみてくださいね。
(文=西村 典子)