
片井 海斗(二松学舎大附)、杉山 遙希(横浜)
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今年のセンバツ出場校の選考の結果を見て、得点力、打撃力を重視した選考が多いと実感した。注目となったのは関東・東京の7枠目の選考だ。
東京2枠目の選考から、それが表れていた。
東海大菅生(東京)が選考された後、東京2枠目は準優勝の二松学舎大附とベスト4の日大三を比較した時、二松学舎大附の打力が高く評価され、東京2枠目は二松学舎大附となった。そして、関東の6校目だった横浜(神奈川)との比較で、二松学舎大附の攻撃力が高く評価され、選出に至った。この選考から考えられるのは、選考の重要な要素となる該当試合の点差や試合内容は例年よりウエートが低かったと考えられる。
該当の試合というのは、東京都であれば都大会決勝、準決勝。関東では準々決勝。これまでは、ここでの試合内容が選考の大きなウエートを占めていた。
二松学舎大附は21年の都大会決勝では9回2死までリードしていての逆転サヨナラ負け。試合内容としては文句なしの展開で22年センバツに選出されていた。しかし今回、昨年秋の決勝戦で2対8と6点差をつけられ大敗していた。
一方、関東6枠目の横浜は準々決勝で2対5と3点差の敗戦。敗戦直後は厳しいムードが漂っていたが、それよりもあとに行われた東京都決勝で、点差がついた試合展開となったため、高校野球ファンの間では「横浜が有利なのでは?」という意見があったのは確かだ。
結果は選考委員が二松学舎大附の攻撃力を高く評価した。1年生スラッガー・片井 海斗内野手を中心とした打線の破壊力は全国レベルの厚みがあり、押切 康太郎捕手(2年)を中心に守備を支え、経験豊富の右腕・重川 創思投手(2年)、速球派右腕・大矢 青葉外野手(2年)の2枚看板も悪くない。何より先行逃げ切りの試合運びができる。好投手と対戦しても、速攻劇で、試合の主導権を握って、勝ち抜いてきた。
しかし、こうしたトータル的な実力を持ったとしても、東京都の場合は決勝戦でそれまでの強さが無になるような試合運びをしてしまうと、選考漏れするパターンが多かった現実はある。二松学舎大附は全国で通用する打線で、選ばれるに相応しいチームだが、今までの選考パターンからすると不安はかなり大きかったとみる。
二松学舎大附は冬を越えるとさらに強力打線へ変貌していく。冬場にしっかりと土台を固めて、能力を伸ばす方針が徹底されているからだ。攻撃と比べると課題の投手力も、パワーアップを遂げて、戦えるチームになれるか。
横浜は初戦の浦和学院(埼玉)戦で完封勝ちしたものの、健大高崎(群馬)戦の試合と合わせて2試合4得点だった。エースの杉山 遙希投手(2年)ありきの試合運びとなってしまった。もちろん、横浜には杉山以外にも多くの好選手がいて、才能にも溢れている。ただ、甲子園、関東大会になると、得点力不足に泣いてしまうのが現在のチームの課題であり、選考漏れになったことで、より殻を破らないといけないと実感したことだろう。
選手の素質は高いだけに、そのポテンシャルを最大限に引き出し、活躍できるか。それがこの1年の大きなテーマになる。
(文=河嶋 宗一)