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近畿ベスト8でも優勝候補として名高い京都国際の戦力を徹底分析

2022.03.03

 今年のセンバツで「要警戒」とされている学校がある。それが近畿5枠目に選ばれた京都国際である。昨夏、新チームの始動が大きく遅れ、練習試合が1試合もできず、公式戦に突入した。それでも近畿大会ベスト8まで勝ち上がった地力の高さは本物だ。

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投手力

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平野順大、森下瑠大

 小牧監督が絶大な信頼を置く最速143キロ左腕・森下 瑠大投手(3年)。入学当初として野手として期待が高かったが、投手として伸びていき、1年秋から主戦格に。昨年のセンバツも経験した。小牧監督は2年春になってからの成長が素晴らしかったと振り返る。直球もアベレージで140キロ前後を計測するようになり、「森下は空振りが奪えるストレートなのが素晴らしいところ。ボールが速くなっても当てられても意味がない」と語るように指揮官が求める球質の良い直球を投げることができる。変化球の精度も高く、何より大舞台で修羅場をくぐり抜けた投球術は全国トップレベルだ。1年冬、疲労骨折の治療で、しっかりとトレーニングが積めなかったこともあり、今年の冬こそが一番大事と考え、みっちりとトレーニングに励んでいる。

 145キロ右腕・平野 順大投手(3年)は直球の回転数が2500を記録し、球質の良さは森下を超える。不調の時期が長かったが、2年秋の大会が終わってから大器の片りんを見せている。準々決勝の和歌山東(和歌山)戦も、「もちろん勝つには森下。だけれど今後のことを考えると平野も必要になる」と考え、先発に起用した。試合には敗れてしまったが、その後の平野の成長を見れば、やらなければならないという自覚が見て取れる。

 ほかでは、公式戦のマウンドを経験した右腕・23343投手(3年)がいて、基本的に横一線だ。センバツまでの練習試合でベンチ入りを争うことになりそうだ。

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攻撃力、守備力

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武田侑大、上野楓真

 守備主体だった前チームと比較すると、今年は打力の高い選手が多い。公式戦、練習試合を含め、チームトップの6本塁打を放っている武田 侑大内野手(3年)の爆発力は凄まじいものがあり、さらに強肩を生かした守備も魅力。勝負強さもあり、本塁打も打てる森下は打線の核で、145キロ右腕の平野にも打力がある。

 辻井心主将(3年)は打力、守備力ともに兼ね備えた好捕手。小牧監督は、「今年の3年の中では、森下とともにメンタル的に大人の選手」と評価も高い。

 同校OBの上野 響平内野手(現日本ハム)の弟である上野 颯真内野手(3年)、三浦 悠聖外野手(3年)、岩内 琉貴也外野手(3年)の経験者も、攻守ともに一定以上の実力がある選手だが、小牧監督は「全国制覇を狙うには一発長打を打てる選手の存在も必要」と、2、3年生の大砲タイプの成長にも期待している。

 今年も自校のグラウンドで、独自の守備練習で守備力を磨いており、全国的に見れば守備力が高いチームだ。

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近畿大会後

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三浦悠聖、辻井心

 新チームがスタートし、準備期間がない中でも近畿大会ベスト8。小牧監督は「新チーム当初から日本一を目指していこうと話した中で、改めてこのままでは全国で勝てない」と選手たちに伝え、目の色が変わっていく様子が伝わったという。その中でも精神的にも最も大人である森下、辻井の2人が中心となって意識改革をしてきた。11月末の練習でも森下が投手陣を引っ張る様子が伝わった。

 新チームの公式戦を迎えるまで練習試合が1試合もできず、近畿大会後の練習試合では主力選手の練習試合は20試合以上を経験。さらに試合に出ていない選手や下級生主体の練習試合も多く組んで、競争を促してきた。近畿大会後に小牧監督は「春は(ベンチ入りが)全員3年生になっても、全員2年生になってもおかしくない。秋、近畿大会ベンチ入りしていたというのは関係ない」と伝えており、切磋琢磨してきた。

 実戦経験豊富な2枚看板がいて、野手も一定の実力以上を持ち、甲子園を経験している選手も多く、経験値も高い。客観的に見て、全国制覇を狙えるチームの1つだろう。

 日本一を目指して取り組んできたこの冬の成果を発揮し、22年も躍進の1年にすることができるか注目だ。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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