高知「4強」を超越するため、立ち向かう「挑戦者たち」
9月15日(土)に30校26チーム(連合チームは高知海洋・高知丸の内・室戸と、清水・宿毛・幡多農が参加)によって開幕した「第71回秋季四国地区高等学校野球大会高知県予選」。15日(土)、16日(日)の両日で1回戦10試合が開催された大会は、9月22日(土)からシード校も登場する2回戦8試合へと突入していく。
はたして8月の県新人戦でも4強を占めた明徳義塾、高知商、高知、土佐を超越するものは今大会で登場するのか?1回戦も振り返りつつ「4強」「挑戦者たち」の動向を中心に展望していきたい。
明徳義塾「万全ではない」も優勝候補最右翼
前チームから主軸を担っていた安田陸(明徳義塾)
今大会のシートは県新人戦の4強である明徳義塾、高知商、土佐、高知。9月9日(日)に組み合わせ抽選会で新人戦ベスト4の土佐、高知の位置を中遠した結果、高知は明徳義塾、土佐は高知商という新人戦と同じやまがたに入っている。
優勝候補最右翼は新人戦優勝の明徳義塾。左腕・林田 大成(2年・175センチ65キロ・左投左打・福知山市立日新中<京都>出身)、右腕・山田 圭祐(2年・183センチ75キロ・右投右打・藤井寺ボーイズ<大阪>出身)の2本柱は、ドラフト候補の市川 悠太(3年)と対照的に共に130キロ台のストレートと、スライダーでかわすタイプ。打線も安田 陸(2年・捕手・178センチ85キロ・右投右打・明徳義塾中出身)以外はいずれも新チームからのレギュラー。明治神宮大会優勝の旧チームと比較すれば「万全ではない」ことは否定できない。
それでも高知商との新人戦決勝では3番・鈴木 大照(1年・右翼手・170センチ65キロ・右投右打・河南リトルシニア<大阪>出身)が豪快な本塁打を放つなどチームの骨格は徐々に整いつつある。伊野商を田中 龍(2年・171センチ75キロ・右投両打・高知市立青柳中出身)が8安打完封した梼原相手の初戦は決して簡単ではないが、先輩たちも辿ってきた「試合を通じて成長する」姿勢を失わなければ、少なくとも6年連続の秋季四国大会切符獲得は固いだろう。
対する高知は高知中では名将として鳴らした濱口 佳久監督が8月初旬に就任。「いろんな選手を試した上でメンバーを決めようと思っている」と当時、青写真を描いた通り、8月の新人戦までは投手起用含め多くの選手をテストしてきた。
センバツで聖地を経験した左腕・森 聡希(2年・投手・171センチ85キロ・左投左打・琴平町立琴平中<香川>出身)と、平尾 暁大(2年・捕手・166センチ74キロ・右投右打・レッドバッファローズ<大阪・軟式>出身)が組むバッテリーを中心としながらも、どんな選手たちが新星として出現するのか。旧チームからの経験者も多い宿毛工や岡豊、昨秋は四国大会も経験した高知追手前は決して侮れないだけに、指揮官のタクトさばきに注目したい。
高知商、正念場の初戦・2戦目
夏の甲子園も経験した山崎 大智(高知商)
夏の高知大会で明徳義塾を破り、聖地でも2勝をあげた高知商。県新人戦でも甲子園経験者の山崎 大智(2年・一塁手・180センチ76キロ・右投右打・高知市立城西中出身)らを中心に4試合27得点と強打の一端をのぞかせたが、秋季大会では初戦から強敵が待ち構えている。
まず高知中央。上手からアンダーハンドまでを使い分ける変則左腕の濱田 海渡(2年・投手・171センチ66キロ・左投左打・尼崎西リトルシニア<兵庫>出身)は、夏の高知大会で明徳義塾に好投すると、県新人戦でも高知に1失点完投。いまや県屈指の左腕と言っても過言ではない。
また、1年生がスタメンの半数を越える中村は県新人戦準々決勝では明徳義塾に延長10回タイブレークまで食い下がり(1対2でサヨナラ負け)、土佐塾も夏の高知大会に続き新人戦も連続8強と確実に力を付けている。福井国体も準々決勝を前に挟まる中「いい課題が出た」(上田 修身監督)新人戦からの修正をいかに施せるかが秋頂点獲得へのポイントだ。
また、逆ブロックでは経験値では県内屈指の右腕・横田 啓悟(2年・投手・176センチ87キロ・右投右打・高知大教育学部附属中出身)を擁する土佐が須崎工、高知工らの挑戦を受ける。
はたして新人戦に続きが「4強」が10月13日(土)の秋季四国大会出場枠「3」をかけた準決勝へ駒を進めるのか?それとも挑戦者たちがその牙城を破り、高知商が生んだ戦国時代に拍車をかけるのか?その一戦一戦に目が離せない。
(文=寺下友徳)