記念大会は3学年で実力派が集結!甲子園を沸かせる剛腕たち(投手編)
第100回甲子園。やはり気になる注目投手、注目打者のパフォーマンスである。今大会は第100回にふさわしく全国各地から精鋭が集結した。まずは投手編。ドラフト候補・将来のドラフト候補たちを紹介したい。
ドラフト候補として注目すべき9投手!
注目投手・柿木蓮(大阪桐蔭)
今回の甲子園でドラフト候補として注目すべき投手は
・吉田輝星(金足農)
・柿木蓮(大阪桐蔭)
・佐藤 幸弥(羽黒)
・沼田翔平(旭川大高)
・渡邉勇太朗(浦和学院)
・山田 龍聖(高岡商)
・垣越 建伸(山梨学院)
・鶴田 克樹(下関国際)
・森 悠祐(広島広陵)
吉田は桑田二世と呼ばれるように、ピッチング、フィールディング、けん制の技術の高さが光る右腕。最速150キロのストレートは回転数が高く、さらにアウトローにしっかりと集まり、変化球も低めに集めることができており、非の打ち所がない右腕。全国舞台でその実力を示すことができれば、一気にドラフト上位候補に挙がる投手だろう。
柿木は、愛知遠征の時は、140キロ前後とスピードが出ていなかったが、北大阪大会では完全復調。最速148キロのストレートはこれまでにない迫力があり、柿木がこれまでずっとこだわってきた「豪快なピッチング」を実現しつつある。
佐藤は、山形大会で自己最速の148キロを計測したストレートを武器に17イニングで20奪三振の快投を見せた速球派右腕。175センチ77キロと決して体格は大きくないが、全身をフルに使った躍動感あるオーバースローから繰り出す直球は勢いがある。ただ力勝負に行き過ぎるところがあり、もう少し押したり、引いたりとピッチングに余裕が出てくれば結果も変わってくる投手。
沼田はこの夏、急成長を見せた本格派右腕。下半身主導のフォームから繰り出す140キロ中盤のストレート、スライダー、カーブを武器に北北海道大会では18イニングを投げ、3失点の好投を見せた。
渡邉は、190センチの長身から繰り出す140キロ中盤のストレート、スライダー、ブレーキが利いたカーブを得意とするピッチャーだ。潜在能力は素晴らしいものがあり、南埼玉大会から一気に状態を上げていけば、楽しみな投手だ。
山田は今年、出場する左腕では最速の148キロを計測。ただ13.1回を投げ、14三振を奪う一方で、11失点と、いかに投球術を高めていけるかが活躍のカギとなる。
垣越は今大会ナンバーワン左腕として評価される可能性を持った大型左腕。最速146キロのストレートを武器に、15イニングで、26奪三振、1四死球をピッチングは素晴らしい。甲子園でも山梨大会で見せた投球を披露することができるか。
鶴田は140キロ後半の速球と130キロを超えるスライダー、フォークを武器にする速球派。球質が重く、内野ゴロを打たせるのがうまい投手。
[page_break:まだまだいる!3年生の実力投手たち]まだまだいる!3年生の実力投手たち
甲子園で大活躍の可能性がある投手たち
甲子園でブレイクに期待がかかるのは、昨夏も甲子園に出場した大垣日大の杉本幸基、修行恵大だろう。ともに140キロを超える速球を武器にする投手だ。龍谷大平安のエース・小寺 智哉は、4試合21.2回を投げ、21奪三振、無失点。140キロ中盤の速球、切れ味鋭いスライダー、フォークを投げ分けるピッチングは素晴らしく、このまま状態を上げていければ、一気に指名候補になる可能性を秘めた投手だ。二季連続出場の近江は、選抜では登板がなかったが、最速147キロまで球速を伸ばした佐合 大輔は楽しみな速球派右腕だ。智弁和歌山のエース・平田龍輝も好調時はキレのある140キロ台のストレート、スライダーで翻弄する右の本格派だ。
全国トップクラスの強力打線・健大高崎を封じ、3年連続の甲子園出場を決めた前橋育英の恩田 慧吾は172センチと決して上背は大きくないが、140キロ前半のストレート、キレのあるスライダーで勝負する右投手だ。
二松学舎大附の2年連続甲子園出場に貢献したのが、最速145キロ右腕・岸川海だ。躍動感あるフォームから繰り出すストレートは威力があり、120キロ台のスライダーとのコンビネーションで東東京大会決勝で無失点の好投を見せた。鹿児島実業の吉村陸矩は威力ある速球とキレのあるスライダーで勝負する本格派右腕。
侍ジャパンU-18代表の一次候補に選ばれた高校屈指の技巧派左腕・板川佳矢(横浜)、142キロ左腕・川原陸(創成館)も活躍に期待がかかる。10年ぶりの甲子園出場の近大付のエース・大石 晨慈はキレのある140キロ近いストレート、落差あるスライダーをコンビネーションに、43回を投げ、6失点の好投を見せた。
森は昨年まで右上手で投げていた剛腕だが、制球力に課題で、夏前にスリークォーターに変更。両サイドへの制球力が増し、最速149キロまで伸ばした。手元で鋭く滑るスライダーの切れ味は絶品だ。
[page_break150キロ右腕・西など下級生にも実力派がずらり]
150キロ右腕・西など下級生にも実力派がずらり
西純矢(創志学園)
また下級生にも好投手が多いのが今大会の特徴。その中で、ナンバーワンといっていいのが西純矢(創志学園)だ。2年生ながら最速150キロを計測。投球フォームのバランス、制球力、投球術、メンタルの強さは素晴らしく、西と同じ2年生には、同じく甲子園に出場した及川雅貴(横浜)、佐々木 朗希(大船渡)と150キロを超える投手がいるが、総合力では西が一番だろう。また、三振を取った後に決める大きなガッツポーズも注目だ。及川は左腕ながら140キロ後半のストレート、130キロ前半の高速スライダーと1つ1つのボールの精度は素晴らしいが、13.1回を投げて6失点とやや多い。
木更津総合の根本太一も148キロのストレートを武器に9.2回を投げて15奪三振、無四球と抜群の安定感を誇る速球派右腕。また昨夏甲子園出場を経験した宮城大弥は、140キロ超える速球とキレのある変化球を武器に、23.1回を投げ、22奪三振、4四死球、1失点と昨夏より成長したピッチングを見せた。
今年の開幕戦で、8回4失点の投球で、夏1勝目を挙げた星稜の奥川恭伸は確かな成長を見せた。ストレートは常時140キロ中盤~146キロを連発。8回表に自己最速150キロを計測するなど、140キロ後半のストレートを維持するスタミナを身に付け、さらに135キロ前後のスプリットの変化も素晴らしく、来年のドラフト上位候補と印象付ける活躍を見せた。
1年生では伸びのある最速142キロのストレートを武器に5イニングを投げて、12奪三振、無失点の好投を見せた篠木健太郎(木更津総合)、140キロ台の速球を投げ込む美又 王寿(浦和学院)もデビューが楽しみな投手だ。
(文=河嶋宗一)