第446回 2016年の公立勢の顔となったのはどこ?公立校の躍進を一挙にプレイバック!2016年12月22日

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【目次】
[1]高松商、鳴門、いなべ総合、明石商の健闘が目立った今年の高校野球
[2]関東圏では市立川越、都立城東、都立日野の躍進が光る
[3]西尾東、松本工、石岡一など試行錯誤を重ねながら実績を重ねる公立校にも注目

 甲子園の常連校と言われている、いわゆる強豪私学と、多くの公立高校をはじめとする、特に野球部を強化指定部としてはいない普通の学校との二極分化。この傾向は、近年ますます顕著になってきている。そうした中で、今年もいくつかの公立校は健闘を示した。そんな公立校はどのようにしてチームを作り、戦っていったのだろうか。

高松商、鳴門、いなべ総合、明石商の健闘が目立った今年の高校野球

米麦 圭造(高松商)

 春のセンバツでは高松商が準優勝を果たし、第1回大会で優勝も果たしている公立伝統校の意地を示した形となった。20年ぶりの出場で、55年ぶりの決勝進出となったが、中学野球の指導者として全国大会へ導いていた実績のある長尾 健司監督が就任して3年目。県内の有望中学生が、長尾監督を慕って高松商に進んできたのも大きかった。

 最初に長尾監督は伝統校にありがちの理不尽な上下関係を廃除するところから始めた。そして、選手個々を伸び伸びとプレーさせたことで、それが実を結んだ形となった。米麦 圭造主将を中心として、選手たちだけで自主的にミーティングを開いて、徹底的に本音で話し合って、意識を作っていったことも大きかったという。

 同じ四国勢で、鳴門が公立勢としては唯一ベスト8に残った。鳴門は、5年連続の出場となっていたが、徳島県では有力私学と呼ばれるところが生光学園しかない。とはいえ、5年連続は素晴らしい実績だ。甲子園でも佐久長聖、春の王者智辯学園盛岡大附といった私学強豪を倒したのは見事だった。昔ながらの砂浜ランニングや山道を走るトレーニングで下半身を作って基礎体力をしっかりと作っていったことが、手束 海斗君が開幕第1号本塁打するなど、結果的にパワーアップにつながった。かつて甲子園で一時代を築いた「渦潮打線」の復活を喜ぶファンも多かった。

 センバツの初戦高松商と延長を戦ったいなべ総合学園も健闘した公立校の一つだった。春夏連続出場を果たし、夏は2勝した。三重県勢は、前年津商が出場して活躍しているが、三重海星などが力を示す中での健闘だ。いなべ総合は環境的にはグラウンドも広大で恵まれているともいえるが、尾崎 英也監督が反復練習で鍛え込んでいくというチーム作りだ。試合を作れる投手陣が毎年、複数育てられているのも、やはり徹底した基礎体力作りからのものであろう。

 センバツでは市立の明石商も初出場でベスト8に残ったが、明徳義塾で高校コーチとして甲子園に出場し、同中学を率いて全国で4度優勝などの実績がある狭間 善徳監督が、明石市の公募に応じて2007年から就任。もちろん全員が県内出身者で、必ずしも恵まれた体格ではないという選手たちに徹底してきたのが、どんな形でも犠打を決めていくというバントの徹底ぶりだった。

 普段の練習でも、シート打撃ではなくシートバント練習をメニューに組み込んでいるくらいだ。夏も兵庫大会決勝まで進んだが、同じ市立校の市立尼崎に敗れた。市立尼崎明石商の活躍に刺激を受けて、「自分たちもやればできる」という思いで、準々決勝では報徳学園に1対0で競り勝つなどして、市制100周年を飾る出場となったのは立派だった。

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市立尼崎 【高校別データ】
いなべ総合 【高校別データ】
大府 【高校別データ】
市立川越 【高校別データ】
静岡 【高校別データ】
都立城東 【高校別データ】
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松本工 【高校別データ】

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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