2023年春センバツの21世紀枠推薦校が続々と決まっている。今回は市太田(群馬)を紹介していきたい。

 市太田はかつての太田市商として名を馳せ、1996年センバツにも出場した。その後、校名変更で市太田となり、現在は中高一貫校となっている。進学にも力を入れており、国公立大への進学者も多い。この秋は県大会ベスト8まで勝ち進んだ。ある練習の1日に密着していくと、21世紀枠の推薦校に相応しい理由が詰まっていた。

野球熱が熱い太田市が誇る市太田



守備練習の様子(市立太田)

 学校は群馬県南部の太田市に所在する。元来から部活動が盛んで、野球部の専用グラウンドだけではなく、サッカーグラウンド、ソフトボールグラウンド、テニスコート、第一体育館、第二体育館がある。野球部の雨天練習場は体育館の下にあるなど、施設には恵まれていて、毎年、好選手を生む土壌ができ上がっている。

 太田市は特に野球熱が高い地域として有名だが、社会人野球の強豪・SUBARUの存在が大きい。都市対抗、日本選手権でも多数の出場があり、地元のファンも多い。市太田の選手たちも北関東地区予選を観戦することもあり、津久井監督、選手らはそのハイレベルなプレーに大きく刺激を受けているようだ。

 野球の街、太田市の学校が21世紀枠推薦校に選出されたこともあり、地元でも大きな盛り上がりを見せている。

 練習を取材すると、実にスピーディーだ。どの選手も、グラウンド内ではキビキビと動き、スピード感がある。ノックでも、スピードがあるだけではなく、守備の技量の高さも伝わってくる。

 その技量の高さは捕球練習から生まれている。選手たちは現役時代、遊撃手として活躍した津久井監督が提案したネットスローに黙々と取り組んでいる。

 津久井監督によると、最近は右足に体重をうまく乗せる選手が少なく、そのため、送球を乱す選手が多い。体の使い方を上達させるために、守備ドリルを考えている。こうした練習から、津久井監督を始め、指導スタッフの指導の熱意がひしひしと伝わってくる。正捕手である齋藤主将はこう語る。

「本気で自分たちを勝たせたいと思っている指導者がたくさんいて、時には厳しいこともありますが、それも自分たちのために言ってくれてると思っているので、選手に対する愛はすごいなと思います」

 現在は太田市商時代のエースとして活躍し、セ・リーグ広島に在籍していた相澤 寿聡コーチもスタッフに加わり、投手を主に指導している。相澤コーチの指導についてエースの津久井 陣太投手(2年)は大きな学びになっていると語る。

「基本的にピッチングは相澤コーチに見てもらってて、球数の話や、どこのコースに投げ分けるか、という話をよくします」

 また今年は投手フィールディングのベースカバーで課題があったため、練習日では徹底して練習を行っていた。

 選手間のミーティングにこだわっている。試合後や、練習が休みの日では、リモートミーティングを行い、戦術や試合の反省を行い、1週間の練習、練習試合に向かっていくという。こうした積み重ねが強豪校にも接戦を演じる土台を築いている。

 練習環境は冬場になると困難になる。太田市は赤城山の南にあり、県内でも特に冬場の風が強い地区である。取材日はたまたま風が強くなく、選手からは「今日は良い感じで練習ができたんですよ。運が良いですね」と笑う。風が強い日は外で練習できない日も多いようだ。

 その中で何かができるか考えてきた市太田ナイン。選手たちのレベルも高く、関東地区の21世紀枠の推薦校に選出されれば、他の8地区に負けない実力校として注目されるかもしれない。

(記事=河嶋 宗一

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