目次

[1]遂行できなかった3年スパンの育成計画
[2]12年ぶりVの裏には選手たちのハイペースな成長ぶり



 これまで愛工大名電が掲げる育成方針や練習メニューを投手、そして野手に分かれてご紹介してきた。今回は新チーム発足時から春季大会を迎えるまでの歩みにスポットを当てていきたい。

遂行できなかった3年スパンの育成計画


 新チーム発足、「ここまで好投手が揃っているのは初めてでした」と田村 俊介寺嶋 大希らを中心とした強力投手陣に手ごたえを感じていた倉野監督。一方の野手は攻守に課題が多かったため、必然的に目指す野球は投手を中心とした守りの野球だった。

 しかし愛工大名電は1つの問題があった。新型コロナウイルスによる練習自粛で狂った育成プランの修正だ。倉野監督は選手育成を3年間のスパンで見て考えるようにしている。これが新型コロナウイルスの蔓延で、愛工大名電は昨年の春は練習ができず、寮も締めなければならない事態だった。

 「どのチームも同じなんですが、ウチの場合は24時間野球に向き合ってチームを作ります。それが一時的でも出来なかったことで、マイナスは大きかったです」

 夏の独自大会の開催が遅かったため、新チームの指導は遅くなった。選手たちの体力が不足し、基礎もまだ十分ではない。多くの練習を積み重ねて秋季大会に入りたいところだったが、夏休みが短縮され時間もなかった。なおかつ3年生主体で独自大会を戦った分、経験者も少ないという事態だった。

 倉野監督は苦渋の末に、ひたすら練習試合をすることを選択。基礎状態でも、とにかく試合を通じて経験を積みながら選手たちを鍛えるようにした。といっても試合は例年の半分程度と十分な準備ができないまま秋季大会を迎えた。

 地区予選は2次予選で享栄に3対5で敗れたものの、地区予選は突破して県大会進出。初戦・にも5対1で勝利を掴み、幸先の良いスタートを切ったように見えた。

 ただ2回戦・愛知産大三河と対戦。相手は県内でも実力校だが、「打ち取った打球をエラーしたり、何でもないプレーでミスが出ました」と守備から崩れ、1対5で敗戦。田村主将も「秋はやり切れないまま悔いの残る大会でした」と悔しさを滲ませた。