第266回 法律的にも批判されている韓国版「田澤ルール」撤廃。プラスになるような改革を韓国でも【後編】2020年09月17日

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【目次】
[1]キャリアの上ではマイナスな面もあるのではないか
[2]次は韓国にも波及してほしい

 9月7日、日本球界にとって衝撃が走るニュースが起きた。なんと田澤ルールの撤廃が発表されたのだ。2008年に設定されたこのルールはNPB入り拒否の意思を示した上で海外球団と契約した際は、高卒なら3年間、大卒と社会人選手なら2年間はNPB球団と契約できないというものだ。

 このルール、日本だけではなく、韓国の野球界にもあることはご存知だろうか。それどころか、韓国のプロ野球の規約(KBO規約)にも記載されているのだ。実はその制約は日本以上に厳しいものとなっている。その事情について日本で弁護士の仕事をしながら韓国プロ野球の公認代理人としても関わっている金弘智(キム・ホンジ)さんに詳しく話を伺った。

 後編の今回は韓国球界へ期待したいことなどを語っていただいた。

前回までの記事はこちらから!
2年間の契約不可、契約金不可…。日本の田澤ルールより厳しい「韓国版田澤ルール」の制約とは?【前編】

キャリアの上ではマイナスな面もあるのではないか



写真は昨年の世界大会の韓国代表選手たち

 日本の田澤ルールよりも厳しい韓国の海外進出選手の国内復帰に対する制約。金さんによれば、実はこの規約が作られた当初は現在の規定よりももっと厳しく、高卒・大卒で海外進出した選手は、海外球団との契約終了後5年間もKBOに戻ることができなかったという。

 ただ、この規約は法律上に大きな問題があるとして、2002年に韓国の公正取引委員会から「是正命令」を受けたそうだ。しかしながら、規約自体が完全に廃止されてしまうと、超高校級有望株の海外流出は免れられないとして、KBOはいわば「玉虫色」的な解決として制限を2年間に短縮したが、これもやはり厳しい制約であることは間違いない。

 また、金さんはこの規約は選手のキャリアを積む上でマイナスになるものでしかないと批判する。
 「プロ野球選手個人の2年間のキャリアがこのような制約で失われることは、とても取り返しがつかないことじゃないですか。リーグの発展・維持を守ることを大義名分として、選手個人のキャリア2年間を一律に奪うことはとても不均衡なことだと思います」

 さらに、法律的にも批判されているこのルール。金さんは「ルールというのは、必要性と許容性が認められて初めて成り立ちえます。韓国の高卒・大卒で海外進出した選手の国内復帰制限の規約は自国リーグの産業を守るため、という必要性自体は認められるかもしれませんが、選手個人の活動の自由を一律に奪っていることを考えれば、到底許容されるものではありません。
 もっとも、法律的にはおかしなこのルールもまだ韓国では、海外流出を防ぐためにはやむ無しという声もまだ少なくありません。しかしながら、他のどんなスポーツでも選手と球団との契約は自由競争が大原則です。
 KBOが国内リーグの産業を守るためという大義名分のもと、韓国の野球界にだけこのルールが認められていることはとてもおかしなことなんです」

【次のページ】  次は韓国にも波及してほしい

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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