今年の長野県でドラフト候補として最も期待されているのが飯山常田 唯斗だろう。

 昨夏、甲子園で最速144キロの速球と切れのあるスライダーを披露し、今年度のドラフト候補として注目するに値する投球を見せてくれた。仙台育英に敗退した8月9日から1年後、8日の準決勝(上田西)での常田の投球を見ると、強力な仙台育英打線を打たれた経験をしっかりと力に変えていた。

 ストレート、変化球ともにグレードアップしているが、1つ1つの球種について追っていきたい。

○ストレート・常時140キロ前半(最速146キロ)

 がむしゃらにストレートを投げる印象が強かった昨年だったが、今年は余計な力みを入れずに140キロ前後のストレートを投げることができる。ただコマンド力は高く、両サイドへしっかりと投げ分けることができる。変化球の割合が非常に多くなったが、それでもここ一番で投げ込む高めのストレートの伸びは素晴らしいものがあり、空振りを奪って三振に取ることができる。

 力感なく空振りを奪うストレートが投げられる。これが常田の凄さである。

○スライダー、カットボール、チェンジアップ、カーブ、ツーシーム

 昨年の常田と比べて大きく変わったのが、変化球の球種が増えて、引き出しが増えたことだ。
 以前は縦に落ちるスライダーが中心で、これが見送られたり、ボールになってしまうとストレートしか投げられず痛打されるパターンが多かった。

 ただ小さく切れるカットボールを習得したことで、投球の幅が大きく広がった。
 このカットボールは打者の手元で大きく曲がり、右打者の外角、左打者の内角へしっかりと厳しく投げ込むことができており、次々と空振りを奪うことができる。ストレートと縦スライダー以外に決め手のある変化球ができたのは収穫だといえる。

 そして左打者には外角に沈むツーシームを投げることで、打たせてとることができている。
 さらにカーブを使うことで緩急を使えることになった。直球か縦スラ。昨年までの常田は球種が限定的で、いくら切れの良いストレートを投げることができても投球は限定的だったが、いろいろな軌道を投げられることで、ピッチングにも余裕が出たのは大きな成長だといえる。

 走者を背負ってもフォークで三振を奪う投球も増えており、引き出しは広がっている。

 また常田は勝ち進むごとに安定感が増している。準々決勝の岡谷南戦では6失点を喫したが、準決勝の上田西戦では最後までペースを乱したり、配球が乱れることもなく2失点完投勝利。確実に成長を見せており、選手としてワンランク評価を高めたのではないだろうか。

 2年連続の優勝へあと1勝。相手は2018年夏出場の佐久長聖だ。決勝戦も快投し、長野県ナンバーワン右腕と2年連続の王者を手にする。

(記事=河嶋 宗一

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