3年生座談会 大船渡東高等学校(岩手)「学校の歴史を塗り替える偉業を達成した選手たち」【前編】
この夏、初の4強入りを果たした大船渡東。春では東北大会に出場するなど、春、夏通して躍進を見せた大会だった。今回はベスト4のメンバーだった選手たちに当時を振り返っていく。
野々村 和樹主将(3年)
岩城 大夢投手(3年)
志田 芳樹外野手(3年)
菅野 洸内野手(2年)
史上初が続いた春と夏
座談会の様子
――2008年に開校した大船渡東はこの夏、初の4強入りを果たしました。夏はいかがでしたか。
3年生:楽しかったです。
志田:それが一番だね。
菅野:先輩たちと長く野球ができて楽しかったです。
岩城:本当か、お前〜(笑)
野々村・志田:本当か〜(笑)。
菅野:本当です、本当です!
岩城:早く引退しないかな〜って(思っていたでしょ)(笑)。
菅野:思っていないです、思っていないです(笑)。
――今年は春も開校以来初となる岩手県大会で3位となり、東北大会に初出場。夏は自信を持って入れましたか。
全員:そうですね。
野々村:春に結果を残せたのでみんな、自信を持って夏の大会に入ることができました。そこはよかったと思います。
――チームはどんな感じでスタートしたのでしょうか。
志田:新チームって感じじゃなかったよね。1個上の時から出ていた選手が多かったから。
岩城:そうだね。
志田:(レギュラーは)ピッチャー、キャッチャー、セカンド、ショート、サード、レフト、センターが残っていて、ライトとファーストが1個上。今まで通りという感じだったね。
岩城:練習試合はあまり負けていなかったよな。
志田:地区は絶対に行けるって調子に乗っていた(笑)。
全員:うん、調子に乗っていた(笑)。
岩城:勝てるべ、と思ってやっていたね。
志田:負けると思っていなかったね。ただ、実際に勝ち上がっていった時はびっくりしたけどね。あれ? 勝っているみたいな。
菅野:すごく強かったです。
志田:今は?
菅野:今ですか…。今は先輩たちが強かったからどうしようかなという感じです。あの時は付いていくだけでした。
――その自信はどこから出ていたのでしょう。
野々村:中学生の頃から顔見知りだったから、(実力が分かっていて)自分は、自分たちの代は強くなるかもって思っていた。
志田:Kボールで県選抜入りした大船渡市の選手たちが結構、大船渡東に来たからね。
選手を大きく変えたウエイトトレーニングとサッカー
岩城 大夢(大船渡東)
――秋の公式戦後はどんな感じでしたか。
岩城:俺は、体力不足と握力という課題が明確だった。それを埋めようとした。
志田:勝てるかな、が勝って自信になっていい経験になった。でも、俺はチャンスで打てなかった。勝負所での強さがなかった。
野々村:チームが1つの方向を向くことができた。俺の課題は守備と一瞬の判断力。
菅野:自分は体力を付けることが課題でした。
――冬はどんな練習をしましたか。
岩城:走って、ウエイトトレーニグをして、ティー振り込んで。
志田:サッカーをして。
全員:サッカーをして!(笑)
野々村:初めて、ウエイトもしたよね。監督も代わって、メニューが変わった。夏に前の監督が体調を崩して、今、部長の久保田先生が監督になった。そして、春から監督が眞下先生になった。
岩城:ウエイトは久保田先生が高校、大学でやってきたことを教えてくれた。
全員:楽しかったね。
志田:最初は(重さを)持てなかったけどね。
菅野:自分も全然、持てなかったです。
志田:でも、(数値が)上がってきたよね。最初は楽しみだったけど・・・。
岩城:新しい(取り組みだった)からね。
――だったけど。
全員:飽きました(笑)。
岩城:だんだん、今日もか〜って(笑)。痛ぇ〜って(笑)。
野々村:でも、数値が上がってくると楽しかったよね。
全員:うん。
野々村:上がったし!って盛り上がったね。
岩城:数値で目に見えるからね。
野々村:(トレーニング中は)みんなに囲まれて(笑)。いける、いける、いける、いける!って(笑)。上がったって(笑)。
志田:サッカーは楽しかったな。
全員:ハハハハハ
志田:楽しいし、体力がつくし。
岩城:普通にきつい。雪の上だからな。
志田:ずっと走り続けるし。
岩城:長靴履いてな。その長靴がパコパコ鳴って(笑)。
野々村:25分ハーフで。
志田:3チームに別れて、ローテーションで試合した。1チーム2試合ずつで。1チーム7、8人で足りないところに久保田先生が入ってくれた。
岩城:待っているグループは(鉄棒で)ひたすら懸垂(笑)。
志田:待っているチームもきつかったね。あとはロングティーを結構、やっていたね
岩城:ひたすらやったね。ウエイトやって、ロングティー。終わったら走って、体幹とかもやった。
志田:近くの神社まで走って行って、階段ダッシュも。
岩城:あれもきつかった。リレーで800メートル走った。
野々村:あれ面白かったでしょ。
岩城:いや、きつかった。足が速いから楽しいんだよ。
野々村:速くはないじゃん。
岩城:足が遅い人は必死なんだよ(笑)。
菅野:自分は走り終わった後、両足をつりました(笑)。
野々村:でも、懐かしいな。
新監督の体制にも慣れ、ついに初の東北大会出場へ
野々村 和樹(大船渡東)
――シーズンが始まってからウエイトトレーニングの成果は感じましたか。
岩城・野々村:春はめっちゃ打球が飛んだ。
志田:俺は超不振だった。大スランプ。でも、肩が痛かったけど、ウエイトをやってからは思い切って投げられるようになった。筋肉が前よりもついた。
――そんな冬を過ごして春に監督が変わりました。
野々村:最初は戸惑いがあった。また、変わるんだって。新しい野球をやる自信がなかった。
岩城:俺は普通に受け入れた。
志田:ここでまた変わっちゃうのかって思った。
――眞下新監督のもと、春は東北大会初出場まで駆け上りました。
野々村:春は県(の頂点)を獲るつもりだった。
志田:シード権は絶対。
岩城:それは最低条件だったね。
野々村:東北大会に行きたいというのはあった。
志田:甲子園常連校と試合をやりたいなって話していたね。
岩城:(盛岡第)四高の時、眞下監督が円陣で言っていたの、よかったよな。シード権を取ったら、みたいな。ここからは楽しんだもん勝ちだ、みたいな話。
志田:『ベスト4になったらすごく楽しいぞ』みたいな話をされたね。
岩城:『10点取れ!』って(笑)。
全員:笑い
志田:春の県大会くらいから、眞下監督の野球にも慣れてきたよね。
全員:そうだね。
――個々の調子はどうでしたか。
岩城:痛いところもなく、全部、投げられた。春は楽しかった。勝てるし、抑えられるし。
志田:地区は打ったけど、県大会は不振だった。
野々村:あまり覚えていないけど、調子は良かった気がする(笑)。
――3位決定戦で花巻東に勝ち、初の東北大会の出場権を得ました。
志田:県大会の3位決定戦前のサイドノックでレギュラーのファーストがダイビングキャッチをしたら右肩を外してね。
岩城:起き上がらなかったね。
志田:ようやくムクッと起きて、俺の方に走ってきたなと思ったら『肩、外れた』って。試合前に(菅野が)大抜擢だよね。
菅野:緊張しました。ファーストを始めて2、3週間だったので。ファーストミットは部のものを使いました
岩城:マウンドからめっちゃ声をかけたな〜(笑)。
菅野:けん制球がバンバン来たのでビックリしました(笑)。
岩城:(笑)。内野ゴロに打ち取って、ファーストに送球したボールが俺に返ってくるたびに声をかけた。
志田:でも、いい場面で試合を作ってくれたからね
菅野:一番、大事な場面で打席が回ってきました。0-1からセンター前に2点タイムリーヒットを打てて良かったです。
志田:不安だったけど、たまたま結果を出してくれた(笑)。
全員:笑い
菅野:たまたまって言わないでくださいよ(笑)。
岩城:1年分の運を使い果たしたな(笑)。
菅野:運じゃないですよ(笑)。あれは実力ですよ!
野々村:言うなぁ(笑)。花巻東には勝つ気で行ったからね。
志田:勝てると思っていた
野々村:逆転されて、やっぱり強いなって思ったけど。
岩城:なんだかんだ、強いなって
菅野:エラーをしなくて良かったなと思いました。打球が飛んでくるたびに緊張しました。
野々村:ただ、キャッチャーが肩を痛めていたから、結構、走られたね。
岩城:秋はバッチリだったからな。エグかったな、秋の送球。
野々村:県でNo.1だよね。
志田:肩は(笑)。走られたらラッキーと思っていた。
野々村:走るなら、どうぞ、という感じだったね。
こうして初の東北大会に出場した大船渡東。後編では東北大会の経験や夏の大会を振り返っていきます。
(取材・高橋 昌江)
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