目次

[1]お互い「プロとして」意見を出し合う中で創る用具
[2]意見をぶつけ合い、すり合わせる中で生まれるグラブ
[3]年々変化し続ける田中 賢介グラブ、2017年は「デュアル」を採用

「W」のマークでおなじみのウイルソン社グラブを使用している代表的プロ野球プレーヤーと言えば田中 賢介選手。昨年も北海道日本ハムファイターズの日本一に貢献。東福岡(福岡)高校からプロ入団18年目となる今シーズンも活躍が期待される堅守・堅実性あふれる二塁手である。

 では、そんなプロフェッショナル・田中 賢介選手はどのような視点でグラブやバットを選択しているのか?今回は「一年のはじまり、気持ちが入る」自主トレ12年目の地、宮古島で田中選手を長年担当しているウイルソンのプロダクトマーケティングチーム・日高 泰也氏との対談を通じ、高校球児の皆さんにも参考となる「用具の選び方」を探っていく。
前編では「プロとして」意見を出し合う中で出たグラブについて、2人が語ります。

お互い「プロとして」意見を出し合う中で創る用具

田中 賢介選手(北海道日本ハムファイターズ)

――まず、田中 賢介選手と日高 泰也さんとのパートナー関係はいつからになりますか?

田中 賢介選手(以下、田中):実は、僕は高校生の時からグラブはウイルソンとは異なるメーカーを使っていたんです。それをアメリカ行き(2013年・MLBジャイアンツ入り)を視野に入れたタイミングで変えたんです……。元々、日高さんとの最初の出会いはバットからですよね?

日高 泰也氏(以下、日高):田中選手は2006年、私がウイルソン入社と同時にかかわらせて頂いた選手です。最初はディマリニ製のバットを使ってもらっているうちに、グラブの型について話し始めて、グラブを実際に試合で使い始めたのは2012年からですね。

田中:僕はグラブへのこだわりが深かったので、いいものができるまでには少し時間がかかりました。

――そのようにして田中選手と日高さんがすり合わせをしてグラブを作り上げる中、ポイントにしたところはどこですか?

田中:グラブの「どこで捕球しても同じところに下りてくる」感覚です。僕のグラブのポケットは普通のものよりも小指側にあるんですが、そこへ全て下りてくるように求めました。

日高:もちろん、1回のやり取りで「これでできました」とはなりません。そこに至るまでは必要なことを1個1個つぶしていくことが大事になります。まだ彼が私たちのグラブを使うか解らないとき、田中選手が言ったことで一番、覚えているのは「『ここ一番』で入ってくれるグラブがいい」。ふとした選手の一言からヒントを得るためにも、1つ1つ丁寧に彼の話を聴いていかなければならないんです。

――昨年で言えば、日本シリーズでこの二塁ゴロで併殺を決めて、日本一が決まる場面で入ってくれるような……。

田中:そうです。グラブの先でも入ってくれるような。そんなグラブがいいんです。

日高:2006年から2012年までの間に田中選手へのグラブだけでも30~40個作っています。