目次

[1]本気でやって成功・失敗の体験をしてほしい
[2]一瞬の成功体験を見逃さない

 「今の世の中って失敗したらもうダメじゃないですか、 僕らの時なんか失敗して小突かれてずっと大きくなりましたけど。今は失敗したらダメなんで、それは本当に窮屈で可哀相な時代だなあとは思うんです」

 西村 慎太郎監督(西日本短大附)の言葉である。だからこそ、西村監督は高校時代に野球を通して成功と失敗を経験してほしいと言う。それは、長い目で見ると、やがて選手が卒業して社会に出た時の貴重な経験になるからである。選手を第一に考える西村監督らしい言葉である。

 今回のコラムでは、西村監督が考える「体験」の必要性を考察したい。

本気でやって成功・失敗の体験をしてほしい


西村慎太郎監督

 西村監督が、まず求めることは本気で行動することである。

「本気でやっても成果に結びつけたり、成功する可能性って低いじゃないですか。でも高校生の時代は、これぐらいやったけどうまくいかなかった、もしくはうまくいった、の両方を体験してくれたら最高だなと思います」

「これだけやった、それが自分の描いた方向に叶えば自信になります。うまくいかなければ、また自分を高めていく方法を変えたり、うまくいくために自分の色んな能力を上げていく」

 どのような結果になっても本気を経験することで、選手自身に得られるものがある。

 一方、中途半端は勘違いを引き起こす。

「中途半端に行ってうまくいかないことは当たり前だと思うんですよね。だけど中途半端にやって、逆に勝っちゃうと勘違いします。野球は、勘違いしやすいスポーツです」

 勘違いは、成長のチャンスを潰してしまう。だからこそ西村監督は、縁があって2年半を一緒に過ごす選手には、本気での行動を求める。

「挫折というが、うまくいかないことが挫折とは僕は思わない」

 これこそが、西村監督の真意である。高校野球で過ごす期間は、本気でやれば挫折はない。どのような結果でも得られることはあるのである。

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