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勝利に繋がるからこそどんな活動も楽しい!都立新宿マネージャー

2018.07.10

 熱戦が各地で繰り広げられている高校野球。東京でも1日に開会式を行い、7日より東西ともに試合が始まった。都内の学校といえばグランドが持てず、練習に苦労しているところが多いだろう。
 だが、都心の新宿にグランドを持ち、練習環境が整っている学校がある。それが今回の訪問先の都立新宿である。この夏は2回戦で都立富士との初戦を迎える。

 そんな選手たちを支えるマネジャーたちは、日々どんな取り組みをしているのか。その胸の内に秘めた想いは何なのか、迫りました。

勝利に繋がると考えればどんな活動にもやりがいがある!


仕事に取り組む 都立新宿のマネージャー

 都立新宿の部員は3学年で22名。その選手たちを支えるのは、3年生の柳井夏湖さんをはじめとするマネージャー3人である。

 ジャグづくりをはじめ、ノックの時やマシンへの球出しはもちろんのこと、備品管理やスコア集計、ネットの修理。さらにはケガの応急処置が主な仕事内容である。
 数多くの仕事をこなしているが、選手の目線になってどんなことをマネージャーにして欲しいのか、選手と同じ立場に立って考えて行動することを大事にして、活動するようにしている。

 ここで都立新宿にしかない変わった活動を聞いてみると、練習中の監督や選手が言ったことを全てメモしていることを挙げてくれたが、動画撮影をしていることも、他ではあまり聞かない。

 彼女たちは、練習の際はノートを片手に、メモを取ることを当たり前のようにしている。それもあって、他校のマネージャーにA5のノートをお勧めしている。

 メモに取り組むことで、話を聞きながら自分の中で話を要約してメモを素早く取れるようになった。そこは他校のマネージャーに負けていないと自信を持っている。そして、進学校として知られる都立新宿の生徒らしく、勉強との両立にも自信を持っている。

 毎日メモを取っているが、選手たちの成長を目で見て感じられるデータの集計をしている時間に楽しさを感じている都立新宿マネージャー。ではどんな時にやりがいを感じているか聞いていると、それは全部だと答えてくれた。
 仕事全てが勝利に繋がっていると考えているということが伝わり、マネージャーの鏡とも思える心がけだった。

 昨年は、必要不可欠な存在だった先輩方と1回戦で郁文館と対戦。結果は敗戦だったが、ケガから復帰した前主将が意地で放った左中間への二塁打が印象的だった。

  その後、新チームで7月以来の勝利をおさめた川口工戦や、今の2年生が当時の1年生の時に多く試合に出場して、勝利に貢献した小山戦といった思い出に残る試合を経験して、今年の夏を迎えた。
 選手たちの汗をぬぐう姿や呼吸を整える姿にときめくという彼女たち。選手たちには「一緒に甲子園に行きましょう」と力強い一言をくれた。

 その3人を代表して、3年生の柳井夏湖さんに次のページでさらにお話を伺いました!

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戦力としてチームを支えられるように!


都立新宿 マネージャー

 中学生の時は茶道部に入っていた柳井さんだが、お父さんが野球をやっていたこともあって元々野球は好きなスポーツだった。中学2年生の時に放送されていたドラマに感銘を受け、高校野球に携わりたいと思ったことがきっかけで、高校では野球部のマネージャーになった。

 マネージャーの活動を通じて、過去に選手同士に信頼関係が築かれていないとミーティングで知った時は挫折したそうだ。一体誰のために、何のためにマネージャーをしているのか。その意味が分からずやる気を失いかけたことがあったが、同時に大好きな野球に裏から携わったことで、さらに野球に対して深く知ることができたという嬉しさも得ることができた。

 数多くの活動の中でも、柳井さんが一番自信を持っているのが、試合の時のアナウンスである。前からプロ野球や高校野球を見てきてウグイス嬢に憧れを抱いていたこともあり、自慢のエピソードを聞くと、新宿・戸山対抗戦でのアナウンスを挙げてくれた。

 だが、憧れだけでアナウンスを大事に思っているわけではない。
 「アナウンス良かったよ」
 監督や選手に言われたその一言が心に残っているからこそ、一番の自信をもってアナウンスができていると柳井さんは教えてくれた。ほんの些細な一言かもしれないが、選手や監督からの言葉はマネージャーにとっては大事なのだ。

 アナウンスをはじめとする多くの仕事を通じて、次に何が必要なのか。スムーズに練習を行うために必要なモノは何か。「常に次を見据えて行動するようになった」と中学生の頃からの成長を語ってくれた。

 もしマネージャーをやらなければ悪い意味で中学の頃と何も変わらなかったと言う柳井さんにとって、マネージャーは「空気」だと語る。 何とも意外な回答だったが、その理由に納得がいく。
 「普段は気にならないけれど必要なもの」
そういう存在を目指しているからこその「空気」なのだ。

 そんな柳井さんは、ただ助けるのではなく、勝つために必要なマネージャーを目指して3年間活動してきた。その集大成がこの夏だ。
 選手からも「マネージャーがいなければ素早く練習ができない」「チーム内で一番感謝すべき唯一無二存在」だと話してくれた。それだけ選手にとってもマネージャーたちの存在が大きいのだ。

 柳井さんがチームの勝利のために頑張る夏にはどんな結果が待ち受けているのか。都立新宿の夏がとても楽しみだ。 

■この冬に都立新宿の選手たちが取り組んできたことを振り返る!
冬が僕らを強くする2018
■野球人口増加のために実施した「野球教室」の様子
都立新宿野球部が取り組む競技人口増加のための『野球教室』

(文・写真=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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