沖縄を皮切りに、2025年も高校野球の季節がやってきた。8月5日に開幕予定の夏の甲子園を目指して、全国各地の球児たちがここまでの野球人生のすべてをぶつける。この夏の主役になろうとしている選手たちの「今」を各チームの指揮官に迫った。

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2018年の高校野球界を沸かせたオリックス・吉田輝星。その弟である吉田大輝などを擁して大会連覇に挑む金足農など、この夏の秋田大会も熱戦になるだろう。

その秋田から甲子園を狙っているのが大館鳳鳴だ。2011年にセンバツ出場を果たした実績があり、この1年間は2大会連続でベスト8入り。優勝が十分手に届く位置にいる。

悲願の夏の甲子園へ。どんな歩みで突き進もうとしているのか。前任校・能代で軟式野球の日本一を達成した指揮官・今畠寿樹監督に聞いた。

軟式野球で達成した日本一の経験を生かして

Q.春季大会でのチームの成果について教えてください。

春はベストメンバーで戦うことが出来ませんでしたが、その中でもベスト8まで勝ち上がれたことは自信になっています。ですが、秋に敗れた能代松陽と春季大会で再戦するにあたって、苦手意識が出てしまったと感じています。

特に投手陣については四死球、暴投がこれまでの試合では見られないほど出てきました。ベンチでも秋の敗戦を引きづっているような雰囲気がありました。そうしたところからも、選手たちのメンタルに課題があるように感じました。

Q.夏へ向けて、チームが取り組んでいることは?

メンタルトレーニングや、練習試合で強豪校と対戦することで自信を持てるようにしています。と同時に、その中で「そんなに力の差はないよね」と選手たちと確認しています。もちろん技術は当然必要ですが、気持ちの部分も大きいことを理解するようにしています。

技術に関しても、投手陣はしっかり抑えていますけど、野手が時折エラーが出る。また好投手と対戦すると、点数がなかなか取れない。そこが課題なので、粘って四球をもらう。セーフティーバントを試みる。軟式野球を指導していた際に使っていた、ランナー3塁でのエンドランなど、ヒットを出せなくても得点出来るチームを作っています。

Q.夏の大会でのキープレーヤーを教えてください。

3年生の村山晄矢に期待しています。今年は3年生よりも、2年生が多くて、試合に出ているメンバーも多いです。ですので、全体的に経験値が浅いため、最上級生である村山に引っ張ってほしいです。

あとは下級生の中でも浅利駿は、1年生の春から公式戦に出場していて、夏の大会を経験していますので、楽しみです。

Q.最後に夏の大会に向けての思いを教えてください。

この1年、能代松陽に負け続けてベスト8止まりなので、この夏はそれ以上の結果を出したいとすごく思っています。だから毎試合全力を出し切って、自信を深めながら勝ち上がりたいと思います。

実力だけならどのチームともいい戦いが出来ると思っています。ですので、軟式野球の時で全国制覇をした際に掲げた攻撃野球を同じように実践して、どの試合も積極的に前を向いていく野球を展開したいと思います。