<2025年全国高校野球選手権愛知大会:日進西8―0三谷水産>◇29日◇1回戦◇豊橋市民球場

 水産高校なので、海洋実習もある三谷水産。なかなか全員が揃っての練習もままならないという状況でもある。それでも、毎年一定数の部員を確保しているのは立派だ。このチームは、昨秋と今春の東三河地区一次リーグでは、一つも勝つことができなかったので、この夏は14人で公式戦初勝利を目指しての戦いとなったが、遠洋実習で一人欠いての戦いとなった。

 これに対して、名古屋地区で揉まれている日進西は、ブロック大会などでは何度も接戦を経験してきている。今春は豊明とは17対18、敗者復活戦となった東郷との試合でも9対10と点の取り合いの末に敗れている。渡邉優監督は「投手が乱れたので、そんな恥ずかしい結果の試合になってしまった」と頭を搔く。しかし、チームとしての力はある。昨夏は豊田高専豊野を下して3回戦進出を果たした実績もある。今年は、それ以上を目指したいところであろう。

 日進西の先発・村島 諄哉投手(3年)は、スラリとしたスタイルで、角度のあるストレートを投げ下ろしてくる。時に大きなカーブも有効で、なかなか的を絞らせない。そして、先発メンバー唯一の2年生ながら4番を任されている篠田 航大選手はスケールの大きな遊撃手でこの日も3安打して打点も4。チャンスに強い勝負強さも見せていた。きっちりと捉えて軸がぶれていないのがいいという評価だ。指揮官も「将来は、上でも野球を続けて1欲しいと思っています。惚れ惚れするくらいの選手ですから」と絶賛している。また、その前を打つ櫻井 皐瑛選手(3年)も二塁打2本を放つなど、力を示していた。

 また、日進西では、三塁コーチャーを務めていた後藤 紳之助選手(3年)の声掛けもユニークだった。チャンスに回ってきた仲間には、「ここで打ったら、今日はぐっすり寝られるぞ」と言ってみたり、「あんまり打たないと、友だち帰っちまうぞ」。「いつも通りの雰囲気で入れているからいいんじゃないか」なんていうことも言う。そして、甘い球を空振りすると、その場で地団太を踏んだりもしていた。そんな、後藤選手について、渡邊監督は「聞いていてヒヤヒヤするところもあるのですけれども、今のところはチームのムードの盛り上がりというところでも助けられています」と苦笑していた。

そんな明るいムードも持ち合わせている日進西。今大会は、大きく躍進していくところを目指している。