<令和7年度春季京都府高等学校野球大会 2次戦1回戦:城南菱創8-6京都外大西>◇4日◇京丹後夢球場

 公立校の城南菱創が昨春の甲子園に出場した京都外大西を下して4年ぶりの8強入り。夏のシード権を獲得した。

「もう信じられないです」と主将の佐々木 将人外野手(3年)は感激。「正直、勝つとは思っていなかったです。良い球場で強いところと試合ができるから、良い経験を積もうみたいな感じだったんです」と試合前から勝つことは全く考えていなかったようだ。

 1994年夏に西城陽を甲子園出場に導いた実績を持つ末常 拓司監督も「辻川(璃人・2年)が頑張って抑えても1対5で負けるかな。コールドにならなかったら良いよなという感じでした」と驚いていた。

 本来は183センチの長身から130キロ台中盤のストレートとスライダーのコンビネーションで勝負する2年生エース・辻川が軸となるチーム。だが、この日は先発全員安打となる16安打8得点と打ち勝った。

「練習試合を含めてもない」(末常監督)という猛攻を見せた城南菱創。2回裏に一死満塁から8番・吉岡 夏輝(3年)が左中間を破る走者一掃の適時二塁打で3点を先制すると、3回裏には3番・山本 洋輔内野手(3年)が「ちょっと根っこかなと思いましたが、上手いこと飛んでくれました」と高校通算6本目となるライトへのソロ本塁打で追加点を挙げる。

 その後も着実に得点を重ね、強豪私学のお株を奪うような打力を発揮した。

 先発の辻川は高めのストレートとスライダーを上手く使った投球で試合を作る。4回と8回に失策絡みで3点ずつ失ったが、自責点1と甲子園経験者が多く残る京都外大西打線を相手に堂々と立ち向かった。

「前半は良い感じに抑えられました。所々で3点取られましたが、最後まで諦めずに投げ切れたので良かったです」と振り返った辻川。昨夏は1年生ながら福知山成美相手に8回1失点と好投しており、その実力を示す結果となった。

 1次戦では田辺、莵道、そして秋4位の山城を倒して2次戦に勝ち進んできた城南菱創。「最初の2つを勝てたら良いと思っていました。山城は強い高校ですし、山城に負けても2つ勝てたら、夏も良い調子でいけるかなという感じだったので、まさかここまで勝つとは思わなかったです」と佐々木は想定以上の快進撃に驚きを隠せない。

 学業に力を入れている高校で、平日の練習時間は2時間程度。「練習時間が短い分、集中するというのもそうですし、『勉強の時とか、行事の時とか、そういうのも練習だと思ってやれ』っていうのを監督は仰っています。野球の練習時間は他の高校に比べて少ないですけど、勉強とか他のことも頑張ることによって、僕たちは実力を付けているんじゃないかなと思っています」と佐々木は言う。

 選手や指揮官の予想を上回る快進撃はどこまで続くだろうか。