2025年の春季高校野球埼玉県大会は2回戦までが終了し、夏のシードとなるベスト16が決まった。組み合わせの影響もあるが、ベスト16に入れなかったビッグチームが夏の大会の「キーパーソン」になることは間違いない。

 昨年秋の優勝チームで、今年センバツ初出場ながら4強入りを果たした浦和実がベスト16に入れなかった。センバツ後、初の公式戦がシードを決める2回戦で、さらに相手も夏甲子園出場経験のある聖望学園。疲労を考慮して、センバツ4強の原動力となった変則左腕の石戸 颯汰投手(3年)をベンチから外す方針で戦うなど、万全な態勢ではなかったこともあり、勝負の2回戦で勝てなかった。夏は優位的な条件のないノーシードからの戦いとなるが、センバツの疲労が抜けないまま戦い、夏に影響が出るよりは、夏に万全で臨めるというプラスの考えもある。ますます大きな存在となりそうだ。

 昨夏の県大会決勝で花咲徳栄に敗れた昌平は、この春地区予選から勝ち上がり県大会に臨んだが、初戦でまさかの敗退を喫した。191センチの大型右腕・東川 一真投手(3年)に、高校通算40本塁打のスラッガー・櫻井 ユウヤ内野手(3年)と、投打にプロ志望選手2人を擁する「タレント軍団」は、力を出すことなく完封負け。夏にリベンジを誓って挑むことになる。

 可能性としては、この夏の組み合わせで浦和実昌平の初戦からの直接対決もあり得るし、2チームがともにシードの初戦の相手となることもあり得る。昨秋優勝チームと昨夏準優勝チーム。この夏、有力な優勝候補となりえる2チームが、夏にどんな戦いを演じるのか楽しみだ。

 この2チーム以外にも、昨秋8強だった川口市立坂戸も夏のシードが取れなかった。逆襲の「主役」となりえる実力があるだけに、この2チームからも目が離せない。

 昨夏代表の花咲徳栄をはじめ、浦和学院上尾聖望学園山村学園西武台などは、しっかりシード権をつかんだ。春16強を中心に、夏の大会も進んでいくだろうが、筋書きのない「夏のドラマ」の予感がしてくる。

※春季大会のトーナメント表はこちらから

【一覧】春季埼玉大会ベスト16(夏シード校)

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