「野球部から学校を盛り上げたい」

△馬場監督

 着実に結果を出し始めているが、都大会初出場を果たしたばかり。部員確保もけして簡単なものではない。ましてや都内では授業料実質無償化が進み、「影響は大きい」と指揮官も不安を口にする。エースの平田 成海投手(2年)も「私立の学校から声もかかっていたが、お金もかかり、家族にも負担がかかるので都立に行きたかった」と話したが、今後全国で私立無償化の流れが進めば、厳しい立場となる。

 都立校にとって逆風が吹く中、同校は今春からスポーツ等特別推薦として野球部を2名募集することが決定している。時代に抗うような推薦枠導入には、馬場監督の熱い思いがあった。

「大山の生徒として見た時に、目的を持たずに入学する生徒も少なくありません。それでは高校3年間がもったいないので、野球でも学校に来る目的が持てるならとお願いしました」

 部として実績を作り「野球部から学校を盛り上げたい」と馬場監督。

「正直、大山は学力が高くないです。それでも学力帯の低い中で野球を続けたい生徒もまだまだいる。そうした学生に向けて環境を整えてあげることが、僕が出来ることだと思っています」

 春季大会の躍進を第一歩として、今春入学する生徒とともに、野球部の発展を見据えている。

「私立を倒したい」

△主将の矢口

 チームは、既に夏に向けて切り替えている。国士舘戦ではコールド負けも、馬場監督は悲観していない。

「昨秋の一次予選でも対戦しましたが、その時は0対10で5回コールド負けでした。どれだけ自分たちが成長しているかと臨んだ中で、今日の試合は7回まで試合が出来たし、2点を挙げることができました。点差は開きましたが、秋より着実に成長しています」

 エースの平田が「国士舘との戦いをプラスに捉えて、体を大きくしたり、球速面だったり、自分の長所を夏までに磨きたい」と話せば、主将の矢口も「速球の対応など、短い期間の中で基礎をどれだけ詰めていけるかが大事」と19年のセンバツにも出場した強豪に胸を借り、経験を夏に活かしていく。

 快挙にも浮かれることなく、夏へと向かっていく。「私立を倒したい」と選手が口を揃える大山の戦いが今から楽しみだ。