【練習試合・愛知】工科校対決! 岡崎工科が春季大会へ向けいい仕上がり
本塁打を放ち、ガッツポーズで本塁へ向かう鈴木裕也君
<練習試合:岡崎工科6ー5豊橋工科、岡崎工科17ー1豊橋工科>◇14日◇豊橋市営
愛知県の公立工科高校で、工業高校時代に甲子園出場の実績のある学校同士の対決である。岡崎工は1974年春と2年後の76年春にセンバツ出場を果たし、いずれも初戦は1対0で勝利したという実績がある。また、豊橋工は2015年春に21世紀枠で選出されている。また、愛知県の工業系の学校としては、1957年夏に津島商工(現・津島北)が甲子園出場を果たしている。
現在は、愛知県の公立勢は私学の壁に苦しめられている。特に商業校も含めた実業校は苦戦しているというのが現実である。そんな中で、両校は何とか頑張っている。
この日は、愛知県の定時制高校の入学試験。定時制のある学校は休みとなっていることで、組まれた試合だった。
昨秋の実績でいえば、岡崎工科は西三河地区予選を突破して、県大会でも初戦は東海南を下したが、2回戦で誉に敗れている。しかし、その後の全三河大会では準決勝にまで進出し、3位決定戦では三好を下して3位になっている。それだけに、平松忠親監督も、「今までのチームよりも、粘りもあるし、勝負強くなっている」と感じている。ある程度の手ごたえを感じながら迎える今シーズンとなる。「夏へ向けて、シード権を獲るのが春季大会では当面の目標」という意識で、春季大会に挑んでいく。
投手陣の層は厚いが、大会も来週からということで「投手は壊したくない」という思いで、この日は1、2イニングを投げることとしていた。さらに2試合目は、その反省に基づいて1イニングをしっかり投げるということとしていた。それを、中村 優斗投手(3年)、峯村 崇杜投手(3年)、杉浦 豪投手(2年)に、ケガから復帰してきた原田 颯太投手(3年)などがしっかりと実践していた。
試合としては、1試合目は見ごたえがあった。豊橋工科はエースともいえる存在の山口 翔大投手が先発して、6回までは力のある岡崎工科打線を3安打無失点に抑えていた。しかも、味方打線が初回には4番・松 佑樹の二塁打で2点、5回にも5番・井上 雄颯の右中間2点適時三塁打と暴投で、3点を追加して5対0とリードしていた。このまま、抑えていけば、大いに自信にもなるだろうと思われた。
そんな山口投手に対して岡崎工科は7回、途中出場だった鈴木 裕也内野手(3年)がこの試合初打席で左越えへソロ本塁打。これで、ちょっと流れが変わり、さらに、この回3安打を重ねて2点差に。そして8回、1死から辻 龍斗、溝﨑 要仁と中軸の連打に四球で満塁としたところで再び鈴木。今度は、右へ運んで逆転の3ランとなった。公式戦だったら、しびれるくらいの劇的連続本塁打と言っていいであろう。
岡崎工科では、練習試合では勝った時に限り、ホームランボールが打った選手にプレゼントされるということになっているという。最初の本塁打だけで、そのまま負け試合だったら、手にすることができなかったが、自らの逆転3ランという離れ技で2個ともゲットすることになったのだった。
層の厚さも含めて、力としては上かなという岡崎工科。それに、食いついていた豊橋工科だったが、神谷監督は、「(中盤までリードしている)こんな展開は、このチームではあまりないので、私自身もちょっとドキドキ、ワクワクしていました。だけど、やっぱりうまくは行きませんね」と、残念がっていた。それでも、この戦い方は十分に評価されていいのではないだろうか。そういう意味では、価値ある練習試合だったとも言えよう。
ただ、2試合目は、選手層と勢いの差が出てしまった形になった。
岡崎工科は7回までの毎回得点17点を奪った。長打は1本だけで四球もあったが、単打を重ねて得点していくという攻めで、大量点とはいえ打撃は雑にならなかったところも評価していいであろう。
愛知県では、来週20日から県大会を目指す地区予選が始まる。岡崎工科は高浜と西三河地区ブロックトーナメント初戦で、豊橋工科は東三河1次リーグで豊丘と戦うことになっている。