取材歴13年「私の出会った個性派キャプテン」たち…叱咤激励型、調整型、高校・大学・社会人ですべて日本一の「殿堂入りキャプテン」も!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.8】
明秀日立時代の永井龍樹、慶応義塾大時代の福井章吾、加藤 稜汰(名古屋南)、狭山ヶ丘時代の小山秀斗
皆さん、こんにちは!!
『高校野球ドットコム』の河嶋 宗一です。私・河嶋が「これまでグラウンドで見てきた感動シーン」(略して『グラカン』)をみなさまにお届けしています!
昨年12月17日、私は愛知・享栄高校で開かれた『高校野球指導者58年会主催指導者講習会』を取材しました。プログラムの中には、仙台育英の須江 航監督の講演があったんです。非常に面白く、またためになるお話でした。この1時間余りの講演の中で出席者した若手指導者からキャプテン選びについての質問がありました。須江監督が仙台育英の事例を挙げながら話す中、私は今まで出会ってきた印象深いキャプテンを思い出していました。
ということで、今回は私の取材活動で出会ってきた非常に印象的だったキャプテン3人と、私が圧倒された”殿堂入り”と呼ぶにふさわしいキャプテン1人の計4人を紹介したいと思います。
監督のように同級生を叱咤激励する小山 秀斗主将(狭山ヶ丘)
まず1人目が狭山ヶ丘(埼玉)の小山 秀斗主将(現・大正大)です。取材したのは20年9月。狭山ヶ丘は20年夏の独自大会で初の県大会優勝を決めていました。しかし直後に行われた秋季大会の地区予選で初戦敗退に終わりました。初戦敗退後に行かせて頂く形になりました。
秋の雪辱を果たすためにどんな思いで練習に取り組んでいるのかがテーマになりました。その練習はとても緊張感があり、私自身も背筋が伸びる感じでした。小山主将の姿というのは、まさに「監督」でした。守備練習で、三塁手にミスがあった時、次のように叱咤激励しました。
「秋は同じミスが出続けて負けているだよ!今も同じミス。それが試合にでも出るんだよ!
(なぜだめか)分かったんじゃないの? あの試合(秋の試合)でお前は?同じミスを続けるな!負けるぞ次も。
同じ負けはもうしたくないんだ!変わらないとお前が! お前から来い!お前から!」
ここまで同級生に対して、叱咤激励するキャプテンは初めてで、衝撃を受けました。どの選手も試合でのミスはつきもの。しかしそこに向き合って自分から練習をしなければ上達はないというメッセージに映りました。
練習の合間に小山主将にインタビューすると、
「悔しくて、応援してくださった方に申し訳ないことをしてしまったと思います。本当に強くて、勝てるチームを目指して、その中で自分は捕手をやらせてもらっています。バッテリーが強くなれば、チームが強くなることを教わっているので、その成長を目指しています」
厳しくまとめる姿は、夏の独自大会優勝時の主将の正高 奏太内野手(亜細亜大主将)の影響を大きく受けたといいます。心を鬼にして憎まれ役になることはなかなかできることではありません。こうした取材を記事や映像コンテンツにして公開したところ、多くの指導者から
「あの動画は好きなんですよ。小山くんの姿勢は素晴らしい。本当に良いキャプテンですよ」
という声をいただきました。現在は大正大の2年生でリーグ戦にも出場している小山選手。3年生からはさらに中心選手としての活躍が期待されます。
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『まるで若手コーチの存在感・永井 龍樹(明秀日立)』
『令和時代に相応しいキャプテン・加藤 稜汰(名古屋南)』