【栃木】3位決定戦 文星芸大附 vs 國學院栃木
堀江 正太郎(文星芸大付)
今夏と昨夏の代表校対決となった3位決定戦、文星芸大附が國學院栃木を一気に突き放す
<第76回秋季栃木県高校野球大会:文星芸大附11-3國學院栃木(7回コールド)>◇1日◇3位決定戦◇宇都宮清原
この夏、16年ぶりに甲子園出場を果たした文星芸大附。宇都宮学園時代から、栃木県の高校野球を引っ張ってきた存在の1つでもある。ほとんど3年生で戦った夏から、チームは一新されたものの、この秋もベスト4までは勝ち上がってきた。準決勝では白鷗大足利に完敗してしまったものの、地元開催の関東大会への出場権を目指しての3位決定戦となった。
國學院栃木は昨夏の代表校でもある。この秋は準決勝で、ライバルとも言っていい名門の作新学院に、競り合いながらも敗れてしまった。そして3位決定戦に回ってきたということになったが、2018年以来のセンバツ出場を獲得するためにも関東大会には進出したいところである。ただ、前日の準決勝を総力戦で戦っていただけに、その疲れなどもいささか懸念されてはいた。
当初から継投は予定していたという國學院栃木の先発は背番号18の鶴見 飛龍投手(2年)。対する文星芸大附は満を持してというか、背番号1の堀江 正太郎投手(2年)がマウンドに登った。高根澤力監督は、「エースが投げる試合は、勝たなくてはいけない」ということを選手たちにもいつも伝えており、そのことで選手たちのモチベーションも上がっていたのではないかと思わせる展開になった。
2回、文星芸大附は1死から5番・大脇、栗原 星羽外野手(2年)の連打で一、二塁とすると、7番・佐藤 悠晟外野手(2年)が中越え適時打を放って2人がかえる。さらに、続く徳原 瑛介内野手(2年)も中犠飛を放って、この回3点が入った。
追いかける國學院栃木は5回、先頭の4番・藤井 悠利外野手(2年)が左前打で出ると、内野ゴロで進み、杉原 颯太内野手(1年)の右越え三塁打で1点を返し、三走は内野ゴロで憤死となったが、その後に2死二塁となって、9番・井上 隼捕手(2年)が右前打して二塁走者をかえして1点差。さらに、6回には2番・大塚 捷生内野手(2年)が左越え二塁打で出るとバントで進め、藤井の中前適時打でついに同点した。試合はこれで振り出しに戻った。勢いとしては、ここで追いついた國學院栃木にあるのではないかと思われた。
ところが、その裏、文星芸大附の打線が、一気に爆発。4回から投げていた左腕・杉原に襲いかかった。
この回は5番からだったが、大塩 七波音内野手(2年)が左前打で出ると、栗原が左翼線二塁打で二、三塁とする。ここで、2回に先制打を放った佐藤悠が左前打で2者をかえす。さらに、徳原が右中間三塁打。3点差となって國學院栃木の柄目直人監督は堪らず杉原を下げて、3人目として左翼から椿 秀太外野手(2年)をマウンドへ。ところが、その代り端を堀江が捉えて左翼線二塁打でさらに追加点。2死となったが、その後連続四球で塁が埋まって満塁となったところで、この回2度目の打席となった大塩が右中間三塁打して走者一掃。さらに、栗原も中越え二塁打。この回の文星芸大附は7安打を集中して、何と一気に大量8点をもぎ取って、試合を決めた。
文星芸大附の高根澤監督は、「6回は打つべき球を打つということで、それを徹底できたことがよかった。堀江は、必ずしも調子は良くはなかったと思うけれども、エースらしい投球でよく踏ん張った」と評価した。夏の甲子園帰りからの新チーム作りに関しては、「正直言うと、あと5試合くらいをこなしてから大会に入りたかったところでした。経験の少なさなどから、サインミスなどもありました。関東大会までには、それら修正すべきところを確認していきながら臨んでいきます」と、思いを述べていた。文星芸大附は宇都宮学園時代から通算して、2年ぶり17回目の関東大会出場となる。
國學院栃木の柄目監督は、「継投は、当初の予定通りでしたが、及びませんでした。まだまだ力はありませんが、ここまでやれたということは今後の糧としていきたい。伸びしろは十分にあると思っている」と、チームの成長へ向けて先を見据えていた。